目黒区総合庁舎建築ツアーガイド:村野藤吾

目黒区役所といえば村野藤吾設計の名建築です。中目黒駅から徒歩で5分ほどのところにあり、もともとは旧千代田生命本社ビルとして1966年に竣工しました。この建物をツアーガイド付きで見学できる目黒区総合庁舎建築ツアーガイドというのに参加してきました。このツアーは目黒区美術館主催で毎年4月〜5月に開催されているようです。ツアーガイドにはコースが4種類あって事前にコースを選んで申し込みをします。

A:通常コース 村野藤吾の代表作の一つである旧千代田生命本社ビルの内外から、村野建築の特徴がわかる“みどころ“を解説つきで見学するコースです。総合庁舎の全体を把握するコース

B:和室集中コース 和室・茶室を中心に、籐で編まれた光天井など侘びの空間から村野建築の特徴を知るコース

C:入門コース 初心者向けに、建築について平易にかみ砕いた解説により、楽しく回るコース

D:英語コース 外国人向けに英語で解説を行なうコース

建築ツーガイドパンフ

で、私はAの通常コースで行ってきました。開催日は日曜でしたので区役所の通常業務はお休みです。時間になったら旧千代田生命本社ビル時代のエントランスロビーに集合します。目黒銀座から庁舎に入るとこのエントランスロビーにたどり着くのにちょっと迷いますのでご注意を。

受付で参加費の500円を支払い、グループごとに集まります。ABCで70人、Dが10人なので全部で80名ですから結構な人数になります。年に1度はいえこんなに集まるなんて村野藤吾人気は不動のものですね。

集合場所のエントランスロビーもいきなり贅沢な空間です。お客様をお迎えする広々空間に照明や(今は照明機能はない)天井モザイク、ガラスアート、すでに撤去されてしましった彫刻などこの場所のためだけに作られたコミッションワークが散りばめられています。

ガラスのアート作品
エントランスロビーの天井モザイク
天井のモザイク
元は照明だったオブジェ

ガイドルートは他グループとバッティングしないように、巡回するのでエントランスロビーをスタートしてどこからまわるのかはグループによって違います。ガイドは大学の建築科の先生が多いようですが、元村野藤吾事務所のスタッフという方もいらっしゃったようです。どのガイドに当たるかは運次第です。私のガイドは大学の先生でした。

一番フォトジェニックな場所は水に映る建物が美しいこの場所と螺旋階段でしょう。

水の映り込みが美しい
螺旋階段
螺旋階段
螺旋階段
螺旋階段
螺旋階段

螺旋階段は市役所という不特定多数の来訪者を迎えるにあたり、もともと一番上の手すりのみで、2段目の手すりと落下防止柵を後から取り付けたそうです。竣工当時は緊張感があり今よりさらに美しいフォルムだったことがうかがえます。

この後付けの手すりと柵は元村野藤吾事務所スタッフの方が村野先生ならこうするだろうということを念頭にデザインされたそうです。

階段が浮いています
浮いている階段

これは螺旋階段ではないのですが、宙に浮いてる階段や、飛行機の羽のようなエントランスのファサードなどこの建物の裏テーマは「乗り物」ではないかという推理もあるようです。

飛行機の羽のようなファサード
飛行機の羽のようなファサード

また、細かい場所にも村野藤吾のこだわりを見ることができます。

外の階段の蹴上のアール
外構のアール
外構のアール

壁と床の接着部は、水平垂直位に接続せず、必ず設置面がアールを描く処理になっています。写真にはありませんが庁舎の廊下の壁と床の接続部分もアールを描いており、床のPタイルを職人が泣きながら施工したのかなぁと思うとこちらも泣けてきます。村野藤吾建築は影で支えた多くの職人やスタッフの涙?の結集ですね。きっと。

縦格子の外観
縦格子の外観

後に似たようなデザインの建物が増えたアルミ鋳物の縦格子の外観デザイン。当時はすごく先鋭的で珍しいデザインだったはずです。今でも決して古くは見えません。このニュートラルでシンプル且つ印象的な外観だから区役所に用途変更しても建物の印象として、全く違和感を感じないのでしょうね。

茶室
茶室
和室
和室

この建物で忘れてはならないのは中庭の池と茶室と3つの和室です。これは保険会社としてはとても贅沢な空間ですね。普通、会社に茶室や和室は必要ありませんから。この和室も障子の桟のデザインや照明など、他に類を見ない村野藤吾オリジナルのこだわりを随所に見ることができます。十字型の照明なんて今でも斬新でかっこいいです。当時どれだけ先鋭的だったことか。

目黒区総合庁舎

元々は生命保険会社として建てられたものを区役所に用途変更をしていますので、当然区役所としては使いにくい、わかりにくいところも多々あります。これでもか、これでもか、と大量のサインや案内板が貼ってあり、迷う来訪者がたくさんいるんだろうなぁということは想像に難くないです。本来はシンプルですっきりした空間のはずなのに、大量のサインや大型案内版のせいでだいぶ悲しいことになってしまっている現状も目の当たりにしました。しかし、目黒区は美しい螺旋階段での結婚式をあげるウェディング事業を展開していたり、和室専門のガイドボランティア?の方を駐留させて丁寧に説明してくれたり、この建物を愛し大切に保存していこうという心意気を強く感じました。目黒区のHPにも村野藤吾のページがあります。

この建築ツアーガイドは毎年開催されているようなので、春になったら目黒区美術館のHPをチェックしてみてください。私は参加してすごくよかったです。日曜で区役所が休みだったので中か見られなかった渡り廊下は機会があったら再訪して見学したいと思います。

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