6th EMON AWARD 特別賞受賞 神林優展
以前にもこのブログで書いた広尾にある写真ギャラリーEMON PHOTO GALLERYのEMON AWARDの受賞者展最後の神林優の展覧会へ行ってきた。
毎年行われているEMON AWARDも6回目を数える。今回は3人の受賞者が展覧会を行った。8月にグランプリ受賞者の大坪晶、9月に特別賞受賞者の岡本裕志、そして10月、特別賞受賞者の神林優の展覧会だ。
神林優の作品
写真では非常に伝わりにくい、実際にギャラリーに足を運んでみても近づいて行かないとその正体がわからない。遠目では非常にミニマルなグレートーンの平面作品の展示にみえる。
神林優:EMON PHOTO GALLERY |
神林優:EMON PHOTO GALLERY |
近づいてみると、そこには紙の折り目だったり、カッティングマットの無数の傷だったり、スケートリンクの滑走跡だったり、様々な跡が刻まれている。それは非常にひそやかに、とても静かに。しかし確実にそこには人間の痕跡がある。人の手の運動跡がある。
神林の文章にもあったが、フィギュアスケートにはコンパルソリーという競技があって、1975年に廃止されるまでフリー、ショート、コンパルソリーの3つの競技で競いあっていたのだ。それは氷上を滑走して課題の図形を描き、その滑走姿勢と滑り跡の図形の正確さを競う種目だった。このフィギュアという言葉がフィギュアスケートの由来ともなっているのだ。たとえばその滑り跡に着目したのが神林の作品だ。
神林優:EMON PHOTO GALLERY |
神林優:EMON PHOTO GALLERY |
誰もが目にしたことがあるが、気にもとめない痕跡を丁寧に拾い集めた作品。点と点が集積してできたのが線、その線の集積はやがて面となる。その線が面となる前の過程に着眼したのが神林の作品だ。そこには人の手の痕跡があり、それは同時に時間の集積でもある。写真の中に時間の集積を、人間の手跡を、シンプルにミニマルに表現した作品群は物静かだけど、人の息遣いを感じるという不思議な魅力がある。
展示風景写真では伝えられない魅力がある作品、是非ギャラリーに足を運んで間近で体感してもらいたい。
神林優:EMON PHOTO GALLERY |
神林優:EMON PHOTO GALLERY |
EMON AWARD
今年で6回目のフォトコンペティションはすでに来年の応募が始まっている。写真、コラージュ、映像、テキストなど表現は自由だ。受賞者は3週間の展覧会が開催できる。まだまだ歴史は浅いがこのコンペティションが登竜門となるよう受賞者の今後の活動に期待したい。
展覧会情報
神林優 展
2017.10.3〜10.14
EMON PHOTO GALLERY
港区南麻布5−11−12TOGOビルB1
11:00〜19:00(土曜18:00)日・祝休