江之浦測候所:光学硝子能舞台で古代に思いを寄せ、冬至光遥拝隧道でアートの起源に触れる

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光学硝子能舞台

江之浦測候所その1から続く、見学レポートです。

ここへ来た第一目的はなんと言ってもとにかく海を見渡せる位置に燦然と輝く、光学硝子の能舞台をこの目で見てみたい!ということでした。

この硝子の能舞台は東京都庭園美術館や様々なところで杉本博司とコラボしている西麻布の三保谷硝子店製です。

江之浦測候所 硝子の能舞台

▲写真中央の長く伸びる鉄製の物体は「冬至光遥拝隧道」、その右に見えるのが「光学硝子能舞台」です。

その先に見えるのは相模湾。

まるで海に突き出るかのような隧道と海の上で舞っているかのように見える能舞台です。

 
江之浦測候所 硝子の能舞台
江之浦測候所 硝子の能舞台

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その日の天気、時間などで刻々と表情を変える能舞台。

つい触ったり舞台の上に上ってみたくなりますがそれは禁止です。

江之浦測候所 硝子の能舞台

とにかく、すごい。もうこんな陳腐な言葉しか出てこないくらい圧倒的に素晴らしいです

期待以上の能舞台で感動しました。まだここで実際に能が開かれたことはないそうですが、もし、ここで能を観劇できたら、それは素晴らしいだろうなとうっとりしてしまいました。

硝子の能舞台でのパフォーマンス

能ではないですし、実際にリアルで観たわけではありませんが、パリ・オペラ座の伝説的ダンサー、オレリー・デュポンがこの光学硝子能舞台で行ったパフォーマンスの映像が残されています。

杉本博司の映像作品「Breathing」です。

2018年の夏、夜明けにマーサ・グレアム振り付けの「Ekstasis」を踊るオレリー・デュポン。

日が昇るにつれ空や海の様子がどんどん変わる中で行われるパフォーマンス。この舞台、この時間、このダンサーだからこその奇跡のパフォーマンスです。

古代の人もこうしたシチュエーションに感動し、それを表現する手段として言葉やアートといった文化を発達させたのかなぁとか夢想してしまいます。

そして彼女が芸術監督を務めるパリ・オペラ座での杉本博司演出の「瑠璃の舞台」へと繋がっていくわけですね。


ところで、この光学硝子能舞台には、舞台に向かって円形状に石の観覧席が設けられています。

江之浦測候所 硝子の能舞台

能が舞われている訳ではありませんが、太陽の光を浴びてキラキラと輝く硝子の能舞台とその背後に広がる真っ青な海と空を感じるだけで大満足です。

この石の観覧席に座ってじっくり堪能してください。時間が経つのを忘れてしまいます。

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石の能舞台

硝子の能舞台の背後には石の能舞台があります。ここでは実際に能の予定があるそうです。

屋外の能というと以前観劇した増上寺の薪能を思い浮かべますが、どんな感じになるのでしょうか。

江之浦測候所 石の能舞台

そして通路のような続いている部分が ”石掛かり” です。

春分の日と秋分の日にはこの線に沿って太陽が昇ってくる設計になっています。

冬至光遥拝隧道

夏至の日は100メートルギャラリーから、春分の日と秋分の日は石舞台(と茶室)から太陽が昇るよう配置されている江之浦測候所です。

では冬至の日に太陽が昇る方向はというと、光学硝子能舞台と冬至光遥拝隧道、特に冬至光遥拝隧道の先から冬至の太陽が昇ってきます。

ちょっと怖いですけど、この上は止め石のところまで歩いて行けます。

能舞台の観覧席のさらに後ろから見る冬至光遥拝隧道。先端がちょこっとだけ見えていますね。

言ってしまえば四角い鉄製の箱なのですが、これが光学硝子能舞台の横から100メートルギャラリーの下をくぐって反対側まで続いています

100mギャラリーの下には冬至光遥拝隧道の入口があって、ここから中に入って冬至光遥拝隧道のほぼ先端まで行くこともできます

向こう側に仄かに明かりが見えていますね。冬至の日にはあそこから太陽が昇ってくるのです。

暗い中を進むと先端が開いているのがよく分かります。

そしてその向こうには相模湾が見えています。

これが冬至の日に太陽が昇る方向です。

危険なところまで行けないよう足下に止め石が置かれています。足下に気をつけながら進んでください。

冬至光遥拝隧道の先端部分です。結構高さがあります。

向こうに見えるのは100メートルギャラリーの先端部です。

こうして並んでいるのを見ると、夏至の日と冬至の日で太陽が昇る角度がこんなにも違うのかとビックリします。

宇宙の神秘を可視化したかのような、こんなにも壮大な作品です。しかも、まだまだ未完成というのです。

これからも毎年1回は訪問して新しく加わる作品たちを鑑賞しつつ、自然の畏れを江之浦測候所という場所を通じて感じていきたいものです。

写真は冬至の日の日の出を見つめる杉本博司本人。同じ景色を古代人たちも見てきっと同じように感じていたのです。

本人なので止め石の先の冬至光遥拝隧道の端っこに立っていますが、一般の鑑賞者は止め石の向こうは立入禁止です

江之浦測候所での注意事項

見学範囲について

まず、硝子の能舞台は舞台に上がるのは勿論、触ることも禁止です。その他の壁、石、硝子も全て手を触れてはいけません。

また、ところどころに置いてある止め石は「ここより立ち入り禁止」という意味です。

写真をご覧いただくとおわかりかと思いますが、この止め石がとてもいい味を出しています。

江之浦測候所 止め石

その他禁止事項

砂利が敷き詰めてあるところも立ち入り禁止です。

基本的にここは施設自体が全てアート作品だという認識でいた方が良いです。

敷地以外の場所も立ち入り禁止です。入ってはいけない茶室の前などはスタッフが立っていました。という訳で見学者は中学生以上であることが条件です。

ここまで書くとなんか面倒だなと感じるかもしれませんが、常識的な行動を取っていれば特に気になることではありません。

禁止事項ばかり書きましたが、三脚の使用とギャラリー内のフラッシュは禁止ですが、それ以外は、写真・動画の撮影可能です。(個人で楽しむに限る、商業的使用不可)

どこもかしこもフォトジェニックなので、私は、びっくりするくらい写真を撮っていました。

まずは現地で渡される小冊子を紹介します。

江之浦測候所

地図も掲載されています。ただこの写真の地図は随分古い時のもので、最新版の地図はもっと広いエリアになっているはずです。

江之浦測候所
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見学時間について

見学者は受付を済ませたら、好き好きの場所に散らばって時間内、各々自由に見学できます。ですから、最初にどこから見学するかも見学者次第というわけです。

私は10時からの午前の部に参加しました。その場合最初の送迎バスは根府川駅9:45発です。さらに10:05と10:30の計3本あります。

以前は根府川駅発9:30の1本だけで10時前には受付を済ませ見学を開始することができたのですが、今はバスの乗車定員を減らし分散化しているようですから注意が必要です。詳しくは公式HPの交通案内で最新状況を確認してください。

帰りの送迎バスは江之浦測候所発11:45と12:30それと13:05発の3つ。好きな時間のバス乗って帰路につくことができます。

私は12:30発に乗車しましたが、そのバスは行きの半分以下の人しか乗車してませんでしたので、みなさん最初のバスで帰られた方が割と多かったようです。

乗用車の方は好きな時間に帰路につけますが、基本的に見学時間は10時から13時の3時間ですので、その間、自分が納得した時に帰ることが出来ます。

飲食について

ギャラリー棟では飲食禁止です。また、その他の場所でも飲料のみ可となっています。

光学硝子能舞台の観客席では飲食可となっています。

2021年秋から「Stone age Cafe」というカフェが土日祝日限定でテストオープンしていますから、ここで買った地元産柑橘類のジュースやお菓子を観客席でいただくことができます。

江の浦測候所には飲料の自動販売機が景観を損なわないように目隠しされて設置されていますし、飲料についてはなんとかなるのですが何か食べようと思ったら計画的に持ち込まないと無理です。根府川の駅にお店はありませんし、小田原湯河原線沿いにはコンビニもありません。

さらに、当然ですが、全面禁煙、ゴミは各自で持ち帰りましょう。

茶室などその他の見どころについは江之浦測候所その3へ続きます。

江之浦測候所の予約方法やアクセスについては 江之浦測候所その1で詳しく紹介しています。

江之浦測候所:杉本博司の世界が広がる茶室や竹林エリアなど見どころを紹介

江之浦測候所:現代美術家、杉本博司の世界を体験する。その予約とアクセス方法(2022年夏)

また杉本博司の「江之浦奇譚」を訪問前後に読んでみてはどうでしょうか。江之浦測候所を訪問する前に読めばすぐに行きたくなる、訪問した後に読めばもう一度行きたくなる本です。

また表参道で杉本博司の作品と空間を楽しめる「茶酒 金田中」、江之浦測候所より前に海が見える崖上の美術館を監修した「MOA美術館」の記事も参考にどうぞ。

杉本博司設計 表参道 酒茶金田中

杉本博司と新素材研究所で設計監修 リニューアルしたMOA美術館


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