中谷芙二子の霧の彫刻 – 長野県立美術館・東山魁夷館(その4)

長野県立美術館

長野県立美術館・東山魁夷館(その1)その2でリニューアルした「長野県立美術館」の本館を、その3では谷口吉生の「東山魁夷館」を紹介しました。

最後は、このためにわざわざ長野まで行ったと言っても過言ではない、中谷芙二子の「霧の彫刻 #47610 -Dynamic Earth Series Ⅰ-」です。

20世紀になってから大阪や品川の公園に霧の彫刻が新設されていますが、美術館に常設展示されるのは長野県立美術館が初めてかもしれません。

この霧の彫刻 #47610 は美術館本館と東山魁夷館との間にある「水辺テラス」に設置されています。

▲頭上を本館と東山魁夷館を結ぶ連絡ブリッジが通っていて、その手前に広場スペースがあります。

ブリッジの向こうに人工的な滝が2段連なっています。

水辺テラス

この人工の滝からその下の水盤、そして善光寺側へ広がる広場全体が「水辺テラス」。

▲上部の斜面から水が流れ、それが下のさらに大きな傾斜を流れ落ちています。

夏なんか気持ちいいでしょうね。長野は大きな盆地なので夏はかなり暑いはずです。

また、冬はきっと雪化粧した美術館が見られるはずです。冬の水辺テラスがどういう表情を見せるのかちょっと気になります。

▲行楽用ではないので水の中に入ることはできないと思います。

▲水辺テラスの上部。

右は本館の2階、左は東山魁夷館のエントランスに続いています。

▲この連絡ブリッジからは下に水辺テラスを見ることができます。

霧の彫刻

常設されている中谷芙二子の「霧の彫刻 #47610 -Dynamic Earth Series Ⅰ-」。

9時30分から16時30分まで、毎時30分ごと1日8回、霧の彫刻が姿を現します。

▲霧自体は水辺テラスの上部から吹き出されてきます。

これが風向き、天候その他の条件で毎回異なる姿を現すのがこの作品の醍醐味です。

霧の発生装置は中谷芙二子が主導して開発したもので、20ミクロンの水の粒子が空気中に放出されてそれが「霧」になるというハイテク装置です。

▲この日は風もなく霧が人工滝を下り水面まで霧に覆われる状態でした。

▲いったん水面まで下りた霧は再び上昇し、連絡ブリッジまで霧に覆われます。

もう少し風があると霧に浮かぶ谷口吉生の東山魁夷館という光景を見ることができると思います。

▲風がないと霧が溜まってこのように視界不良状態に。

以前水戸芸で体験した霧の彫刻もこのように視界が遮られるくらい濃い霧でした。

▲水面から霧の彫刻をみた動画です。

▲霧の中で人々が楽しんでいる様子です。

中谷芙二子

アーティストの中谷芙二子の父親は人工雪の製作で世界的に有名な物理学者の中谷宇吉郎。父親の仕事もあってアメリカでの暮らしも長く、高等教育もアメリカで受けたコスモポリタンなアーティストです。

▲2018年に水戸芸術館現代美術ギャラリーで開催された個展「霧の抵抗」の時の「シンコペーション」という作品。メッセージ性の強いインスタレーションでした。

この時は「フーガ」という室内を霧で満たす作品も展示されていました。

また「霧の抵抗」は日本国内で初めての個展でした。そこで初めて中谷芙二子の仕事の全容を掴むこことができたのですが、ラウシェンバーグと友人だったり60年代から様々なメディア・アート的イベントを行っていたのを知ってかなり衝撃を受けたのを覚えています。

ジョンとヨーコを巻き込んで今のTwitterみたいなことを電話とFaxで実現したり、ビデオアート作品を制作したり、あまり表には出てこないものの現代の様々な表現手法の先駆者の一人です。

そんな中谷芙二子の新作なわけですから長野まで出かけて鑑賞する価値はあると思います。

▲これは石川県加賀市の「中谷宇吉郎雪の科学館」。中谷博士の業績をまとめて展示する施設です。

この中庭には娘である中谷芙二子のインスタレーション「グリーンランド氷河の原」が設置されています。中谷博士が研究していたグリーンランドの石を運んできて敷き詰め、そこに霧が吹き出るインスタレーションです。

私たちが訪問した時は既に設備装置が老朽化して霧が少ししか出ていませんでした。でも昨2020年に装置を修繕して今ではきちんと霧が出るようになっているそうです。

ここもゆっくり再訪してみたい場所です。

中谷宇吉郎 雪の科学館

石川県加賀市潮津町 イ106番地

長野県立美術館・東山魁夷館

長野県長野市箱清水1-4-4 MAP

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。