天王洲の寺田倉庫が運営するTERRADA ART COMPLEX

古くから天王洲にある倉庫会社株式会社寺田倉庫が運営するTERRADA ART COMPLEXは、倉庫をリノベーションしたビルに現代美術のギャラリーなどが複数入居する複合施設です。

天王洲

天王洲と言うと湾岸の寒々しいビジネス街というイメージを持っている方は、だいたい90年代に既に大人だった方でしょう。

90年代から天王洲の寺田倉庫が倉庫をリノベーションしてオフィス利用するという流れがありつつ、さらに、大手デベロッパーによるオフィスビルが次々建設されました。しかし、当時は1992年に運用開始したモノレールの天王洲アイル駅しかなかったため、不便な場所というイメージが払拭されずに時は流れます。2001年に東京高速臨海鉄道りんかい線の天王洲アイル駅が運用開始して、人の流れが出てきます。

少し話がそれますが、1978年にピラミッドフィルムをカメラマンの繰上和美らが創設し、1984年に港区海岸の鈴江倉庫に移転しました。移転後だいぶ経ってからですが、仕事で何度か訪問する機会がありました。無骨な建物ながら天井が高くてとにかく広い、そして何よりもすごくカッコ良かった。個人的には倉庫リノベーションで最初にかっこいい!と感じたのはピラミッドフィルムでした。

天王洲

 

寺田倉庫

天王洲に戻ります。平日はビジネスマンがいるものの、土日には閑散としていた天王洲を現在のような文化的な街へと変貌させたのは寺田倉庫の力が大きいです。まず、起爆剤となったのは、1997年に古くなった1号倉庫がクラフトビールの醸造所を併設するレストラン「T.Y.HARBOR」に生まれ変わったことでしょう。不便な場所ながらそれがかえって隠れ家的でそそりました。そして何より海沿いの開放的な立地がオシャレすぎて興奮したのを覚えています。

現在、寺田倉庫創業社長のお孫さんで三代目にあたる兄弟の次男が飲食店会社タイソンズアンドカンパニーの社長となり天王洲だけでなく都内各地にスタイリッシュな飲食店を展開しています。例えば広尾(南麻布)から表参道に移転したCICADAや代官山のIVY PLACEなどがそうです。

更に寺田倉庫が天王洲に展開しているのは飲食だけではありません。

PIGMENT TOKYO

温湿度といった環境変化に強い倉庫の強みを生かして個人向けのワインセラーをスタートしたのが1994年です。その後代表取締役に中野善壽氏が就任してから、2015年に画材ラボPIGMENT TOKYO(▲写真上)、2016年建築倉庫ミュージアム、TERRADA ART COMPLEXが次々にスタートします。2020年には現代美術のコレクターズミュージアムWHATとアートギャラリーカフェWHAT CAFEがオープンしました。2019年から創業者の三代目にあたる兄弟の長男が社長に就任しています。

なお、大改革を遂行した中野善壽はこの8月から熱海のホテルニューアカオの代表取締役会長に就任しました。中野氏によってホテルニューアカオがどんな風に生まれ変わるのか楽しみです。

PIGMENT TOKYO は隈研吾デザインです。▼

 

TERRADA ART COMPLEX

長い前置きでしたが、ようやくTERRADA ART COMPLEXについてです。森ビルが運営する六本木のcomplex665と時を同じくして2016年にオープンしました。オープン時、白金から児玉画廊山本現代URANOと、東雲からユカ・ツルノ・ギャラリーが移転し4つのギャラリーからスタートしました。

TERRADA ART COMPLEX

その後、2017年に谷中のSCAI THE BATHHOUSEの新形態「SCAI PARK」と、小山登美夫ギャラリーの元ディレクターが独立開業した「KOSAKU KANECHIKA」の2ギャラリーがオープン。SCAI THE BATHHOUSEは2021年六本木の森ビルのピラミデに「SCAI PIRAMIDE」をオープンし3つの拠点を持っています。

展示作業中のKOSAKU KANECHIKA▼

KOSAKU KANECHIKA TERRADA ART COMPLEX

2018年にはKOTARO NUKAGAがオープン。KOTARO NUKAGAは2021年5月に六本木のピラミデに2拠点目のギャラリーをオープンしています。▼

KOTARO NUKAGA TERRADA ART COMPLEX

同じく2018年に開業時より入居していた山本現代とURANOが東日本橋のハシモトアートオフィスを交え、3つのギャラリーが合併し新ギャラリー「ANOMALY」が誕生しました。

とっても広いANOMALYのギャラリースペース▼

ANOMALY TERRADA ART COMPLEX

人がいるとギャラリーの広さ、天井の高さがわかりやすいです。▼

ANOMALY TERRADA ART COMPLEX

また2018年11月にはSCAI THE BATH HOUSEから独立開業した Takuro SomeyaContemporary Artが南麻布から移転オープン。▼

2020年には、表参道のMAKI Galleryが1Fに2拠点目となるギャラリーをオープンし、現在は8つのギャラリーが入っています。

入っているギャラリーの中で最も広いスペースのMAKI GALLERY▼

ジョナス・ウッドのテニスコート・ドローイングスがズラリと並ぶこのスペースは圧巻です。(この展示は2025年までの予定)

奥にはトイレの個室が二つあって高い天井を見上げてみると‥。

このトイレもジョナス・ウッドの作品です。トイレとしての使用は不可。▼

 

TERRADA ART COMPLEX II

2020年9月のコロナ禍に、TERRADA ART COMPLEXと向き合う形で建つ倉庫がTERRADA ART COMPLEXIIとしてオープンしました。

現在、1FにはMAKI GALLERYとYUKIKO MIZUTANI。2FにはContemporary TokyoTokyo International GalleryUG GalleryMU GALLERY。3FにはSOKYO ATSUMITHE ANZAI GALLERYが入っています。

TERRADA ART COMPLEXIIのMAKI GALLERY アーティストが制作中の時の写真。こちらも広い!▼

MAKI GALLERYのお隣YUKIKO MIZUTANIも広いです。▼

YUKIKO MIZUTANI

gallery UG▼

MU GALLERY▼

そして今年3月には、1FにTERRADA ART COMPLEX CAFEもオープンしました。▼

ここにカフェができたのは嬉しいです。▼

TERRADA ART COMPLEXのギャラリーの数は年々増えているので、今は天王洲へ行ったら1日がかりです。

 

IMA gallery

以前は六本木のAXISにあったIMA galleryも天王洲の寺田倉庫に移転しました。IMA galleryは広告ビジュアル制作業界最大手のアマナが運営するギャラリーです。アマナの本社も同じ寺田倉庫にあります。アマナは浅間国際フォトフェスティバル、過去2回はPHOTO MIYOTA今年はPHOTO KOMOROを主催しています。▼

写真に特化したギャラリースペースとカフェが一体化しています。現在はコロナのため展覧会は開催していません。カフェも当面臨時休業中。再開される日が待ち遠しいですね。

ここ30年くらいですっかり文化的な街へと変貌を遂げた天王洲ですが、天王洲の発展を語る上で寺田倉庫の存在は欠かせません。そして、今後も益々面白くなっていくのではないでしょうか。

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。