石上純也設計 柱のないKAIT広場と柱だらけのKAIT工房を見学してきた!

2020年12月に竣工してから何かと話題の神奈川工科大学のKAIT広場の見学に行ってきました。設計はアートビオトープ那須の水庭を設計した石上純也です。超話題の場所の見学だったのですごく期待して行ったのですが、全く裏切られることはなく、むしろ期待以上の空間でした。


KAIT広場

まず、KAIT広場というのは、神奈川工科大学/KANAGAWA INSTITUTE OF TECHNOLOGYの頭文字のKAITの広場です。その名の通り広場であって、特に機能のないスペースです。特に明確な機能や用途のないスペースって実はものすごい贅沢な空間です。そんな建築を学内に建設する英断をした神奈川工科大学はすごいです。

この建物が竣工した2020年の年末から2021年の年始にかけて建築雑誌の表紙を飾ったり、雑誌の特集に掲載されたりしたので、かなり話題になったのですが、コロナ禍で一般見学の受付を行っていませんでした。ようやく11月になって見学受付を開始したので早速行ってきました。

KAIT広場がどんな空間なのか是非動画を参照ください。▼


柱がない大空間

KAIT広場は、約4100m2ある広大なスペースです。こんなに広いのに柱が1本もありません。では、どこでこの建物の天井を支えているのかというと、外周の鋼材による壁と83本の基礎杭とアースアンカー54本による基礎部分です。天井の荷重は580トンもあるのに。

えーーーーーーすごっ!それだけでこんな広いスペースの天井って支えられるんですね。これはすごい。本当にすごい。実際に訪問して空間を体感すると写真で見るよりも全然広いのです。なのに、なのに、本当に柱が1本もないんです。そんなとてつもない建物の施工はどこがやったかというと鹿島建設です。

石上純也設計 KAIT広場


天井の開口

柱が1本もない大空間に、何があるかというと四角い開口です。開口からは大空が見えて、晴れの日には真っ青な空が、曇りに日には雲の流れが、雨の日には雨が降り注ぎます。そうです。四角い開口は窓ではなく完全に開いています。この四角い開口は全部で59個あり、その大きさはランダムで1辺が1.8m〜3m。天井の高さは2.2m-2.8mです。

確かに壁面に近い開口は、手が届きます。ふちにつかまってぶら下がってみようかなと思いましたが、万が一たわんだら怖いのでやめておきました。やってはダメですよー。

そして、この天井の鉄板は全部現場で溶接したんですって!ヒーーッ。

石上純也設計 KAIT広場

開口からの雨水はどうやって排水するかというと、透水性アスファルトを敷き詰めているので、雨水は瞬時に吸収されて床の下から排水される仕組みです。だから水溜りになったり、雨水が斜面を流れたりということはないようです。

この透水性アスファルトは床面だけでなく、天井の鉄板にも敷き詰めてあって断熱、耐震、風圧対策がされています。

石上純也設計 KAIT広場


設計石上純也

この空間の設計はあのアートビオトープ那須にある水庭の設計や先日開催されたPAVILION TOKYO2021/パビリオン・トウキョウ展でKudan houseの「木陰雲」を発表した石上純也です。

アートビオトープ那須の水庭については下記を参照ください▼

石上純也「水庭」:アートビオトープ那須

PAVILION TOKYO2021/パビリオン・トウキョウの「木陰雲」については下記を参照ください。▼

PAVILION TOKYO2021 建築家 石上純也「木陰雲」曇天と晴天の日に2回訪問

東京都現代美術館で2011年に開催したグループ展「建築、アートがつくりだす新しい環境―これからの”感じ”」で出品していた四角いシャボン玉の頃から、いやその前から、通常は建築とみなされないような、極薄・極細などなどの非物質的で、無重力な構造体を制作発表していました。そのコンセプトは今も変わっておらず、スケールがどんどんダイナミックになってきていてこれからの展開がさらに楽しみです。

空間そのものが作品

真っ白な空間に身を置き、天井の開口から空を見上げ、鳥の鳴き声や雲の動きを観察する。そして、その季節、時間、天候によって表情が変わるのでその時々の良さがあり、何度も訪問したくなる。建築空間そのものが作品。

これってどっかで聞いたことがあるような。そうです、内藤礼と西沢立衛の豊島美術館とジェームズ・タレルのオープン・スカイにとても近いものがありますね。どちらも大好きな作品です。そんなアート作品のような空間が大学の構内にあるなんて、羨ましい限りです。


KAIT工房

2008年に竣工した工房です。こちらの設計もKAIT広場同様石上純也です。この施設にはちゃんと機能と目的があって、その目的は「ものづくりの夢を実現させる」です。

工房では、金属加工、陶芸、鋳造、木工加工、3Dプリンター、レーザー加工、モデリング加工、七宝、サンドブラスト、印刷などなどが自由に制作できます。

石上純也設計 KAIT工房

305本の柱

コンセプトは「森の中のものづくり」です。2000m2の大空間に壁や間仕切りは一切ありません。しかし、305本の薄い柱がランダムに配置されています。この柱の断面形状と角度は全て異なっています。

全面ガラス張りですが、植栽をたくさん取り入れているので、無機質な雰囲気ではなく、明るく開放的です。白い柱がランダムに配置されているのも空間にリズムを生んでいて温かみやぬくもりを感じます。天井は5mもあり間仕切りがないためとても広々しています。

天井には勾配がついていて雨水は北側のガラス面を滝のように流れ落ちる仕組みです。雨水が流れ落ちるところ見てみたい。

KAIT工房を見学すると、この工房あってのKAIT広場なんだというのがわかりました。

石上純也設計 KAIT工房


基本情報

見学するには

KAIT広場とKAIT工房の見学には事前予約が必要です。見学は神奈川工科大学のwebから予約します。見学日の設定は今のところ平日のみです。2021年内の予約はすでに満杯のようなのでキャンセル待ちするしかないかもしれません。

見学時間:13:00~16:00 1組30分以内(1組5名まで)1日12組限定   車での訪問も可能

アクセス

公共交通機関で行く場合、本厚木駅からバスで行きます。バスは神奈川工科大学直通というのもあるのですが、私が向かった時間帯にこの直通バスはありませんでした。ですから、神奈中バスに乗って神奈川工科大学前で降りるという方法で行ってきました。

直通バスは13時が最後なので見学時間を、調整したほうがいいかもしれません。

神奈川工科大学行きバスの時刻表(2021年11月現在)

厚木バスセンターは始発ですので時間通りにバスは来ます。しかし、本数は途方もなく少ないのでちゃんと狙って行ったほうが良いです。

3つのバスの時刻表を貼っておきますので参考にしてください。この直通バスに乗れるならそのほうが楽だと思います。▼

神奈川工科大学行きバスの時刻表

 

かなり本数少なめです。▼

神奈川工科大学行きバスの時刻表

私はこの「厚07あつぎ郷土博物館行き」に乗車、厚木バスセンターから大学まで約30分かかりました。▼

神奈川工科大学行きバスの時刻表

厚木バスセンターの厚07あつぎ郷土博物館行きの乗り場です。▼

神奈川工科大学行きバス停

大学に到着したら

正門のところにある守衛所によって見学予約の旨を伝えます。予約確認後見学者の札を渡されるので首にかけてKAIT広場に向かいます。KAIT広場の入り口でも予約確認があります。そこでKAIT広場のリーフレットがもらえます。▼

KAIT広場見学

神奈川工科大学

神奈川県厚木市下荻野1030 MAP

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