コンテンツへスキップ

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」


<
フォローする
シェア:
記事の評価

外苑前にある現代美術の殿堂ワタリウム美術館で1/22からスタートした視覚トリップ展を早速観てきました。ワタリウムが所蔵する充実した有数の現代美術のコレクションで構成された展覧会なので、非常にワタリウムらしい内容の展覧会です。ヨーゼフ・ボイス、ナムジュン・パイクやオラファー・エリアソン、ジョナサン・ボロフスキー、キースヘリング、アンディ・ウォーホル、さわひらきなどなど涎ものの連続です。会期延長されました!(2022.5.10追記)

スポンサーリンク

JRの作品もすっかり剥げてしまったワタリウムのファサード▼

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

ワタリウム美術館

ある世代より上のアート好きの方なら、この場所がかつては小さな画廊、ギャルリーワタリだった頃をご存知だと思います。

ワタリウム美術館の前身ギャルリーワタリの頃から一貫してバリバリの現代美術を扱っていました。そして、現在はワタリウム美術館と一体化しているon sundaysは、当時別の建物にありました。

ギャルリーワタリが私立美術館ワタリウムになったのは、1990年です。すでに32年経つわけです。うーん、だとするとギャルリーワタリの時代を知っている人も段々少なくなってきているのかもしれません。

シグマーポルケとゲルハルト・リヒターのコラボ作品「変容」▼

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

いきなり画廊が美術館に、しかも小さな確か2階建くらいだった建物が倍以上の高さの大きなビルになって、しかも設計はマリオ・ボッタで。その見事な変貌ぶりにとっても驚いたのはよく覚えています。

ギャルリーワタリのオーナーで、ワタリウム美術館の初代館長の和多利志津子さんはもうすでに亡くなり、現在は、その長女と長男のご姉弟が館長とCEOとして美術館を引き継いでいます。

そんなワタリウム美術館も2020年パンデミックにより入館者激減、苦境の中で行ったクラウドファンディングで目標額を遥かに上回る金額が集まったことは記憶に新しい出来事です。

スポンサーリンク

視覚トリップ展

この展覧会は、ワタリウムのコレクションによって構成されているので、自ずとワタリウムらしいラインナップになるわけです。いくつか展示作品をピックアップしてご紹介。

ワタリウムというと90年代、積極的にフルクサスのメンバーの展覧会を開催していた印象です。というわけでまずはフルクサスの主要メンバーだったパイクとボイスの作品から。

上から吊られているのは左奥の白がオラファー・エリアソン作品、手前の赤がジョナサン・ボロフスキー、壁面のドローイングは正面が主にボイス、右壁面、手前展示ケースはパイクです。▼

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

スポンサーリンク

ナムジュンパイク

ビデオアートの父と称されるナムジュンパイク、2019年にテートモダンで大規模な回顧展が開催されました。現在、東京都現代美術館で個展が開催されている久保田成子はナムジュンパイクの妻であり、同じくビデオのアーティストでした。そして二人ともフルクサスのメンバーであったことは周知の事です。

私が最初にナムジュンパイクの作品に出会ったのは多分ギャルリーワタリではなく、原美術館だったような気がするのですが、ワタリウムでもパイクの作品を目にする機会が多かったように思います。

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

原美術館の入口に常設されていたパイクのブラウン管の作品は、ある時からブラウン管の老朽化によって映像が途絶えてしまい作品として成さなくなっていたのですが、ワタリウムでコレクションしているであろうブラウン管の作品ももしかしたら、原美術館の作品同様に展示するのは難しい状態にあるのかもしれません。

作品は本物の炎

というわけで実際に映像が流れる作品はほとんど出品されておらず(そもそも「ドローイングを中心に」なので)度々ワタリウムで目にする「キャンドルTV」▼と「ニューキャンドル」です。

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

ワタリウムで初めて見たときは、本物の炎なのに監視員なしのワタリウム美術館の鑑賞者への信頼の高さに驚きました。これ、公立美術館だったら常に監視の人が立っていると思います。そもそも公立美術館は、火気厳禁だから展示NGになるかも。

「ニューキャンドル」はゆらゆらと揺らめく炎の動きをRGBのプロジェクターが写し、それを更に再びカメラが捉えるというRGBの無限蝋燭は、シンプルながらも美しいインスタレーションです。

その優美な揺らめきが美しいのですが、動画NGなのが残念!▼

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

スポンサーリンク

ヨーゼフ・ボイス

ワタリウムというと、パイクと共にボイスの印象も強いです。個展、グループ展とたびたび作品を目にした記憶があります。

針生一郎発見!

展覧会ではボイスのドローイングと共に、ボイス来日時の記録映像が展示されていました。熱弁するボイス、聞き入るパイクの間にタバコを片手に加わっているのは、針生一郎先生ですね。

このタバコの持ち方、髭の感じ、懐かしいです。針生一郎というのは、東野芳明、中原祐介と並び「美術評論の御三家」と呼ばれた人です。この記録映像に写っているお三方はもうこの世にはいないけれど、作品は遺り続けています。

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

ボイスのドローイング▼

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

スポンサーリンク

ジョナサン・ボロフスキー

80年代、まだワタリウムがギャルリーワタリだった時代に出会った「夢をみた」の赤いルビーのシリーズです。当時セゾングループのCMや広告に使われた事でジョナサン・ボロフスキーの作品が世間の注目を集めました。

それで、どうしても本物の作品が観てみたいと思い立ち、ギャルリーワタリに観に行ったのです。まだまだ、画廊の扉を開けるのには、とっても勇気がいる年頃でした。

当然ですが、初台のオペラシティもファーレ立川もまだない頃です。その後ボロフスキーの作品が常設で観られるパブリックアートになったのは嬉しい出来事でした。

上からぶら下がっている作品「赤いルビーを見つける夢をみた」がボロフスキー、壁面のドローイングはパイクの作品です。▼

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

スポンサーリンク

キース・ヘリング

キース・ヘリングは、80年代を代表するニューヨークのストリートアートの先駆者です。いきなり現れてあっという間に世の中を席巻し、そして突然いなくなってしまった嵐のようなアーティストでした。

90年代は、優秀なアーティストが次々エイズで亡くなった時代です。その象徴のようなアーティストの一人でもあります。

いきなりこの世を去ったものの、長い間ワタリウムの向かいの建物に、その壁画があったことはご存知の通りです。

本人が来日してペイントした1983年から解体される2018年まで35年間キラー通りのアイコンだったキース・ヘリングの壁画がもう観られなくなったのは残念です。

カルフルにペイントされたトルソと首像がキース・ヘリング作品▼

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

スポンサーリンク

さわひらき

ワタリウムぽくないアーティストだなと思ったらゲストアーティストでした。この作品はオオタファインアーツで2021年2月から4月に開催された個展で発表した「/home」に「absent」を加えたシンガポールのオオタファインアーツで発表された作品です。六本木では「absent」はなかったのでここで鑑賞できたのはラッキーでした。

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

この展覧会のために制作された最新作のドローイング作品▼

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

スポンサーリンク

アンディ・ウォーホル

4階にはウォーホルの「サムという名の25匹の猫と青い子猫ちゃん」が。ウォーホル1954年の作品。この壁だけで一体いくらするの???と下世話な発想しか浮かばない自分に嫌気。

でも、すごくいいです。これ観られただけでもこの展覧会行ったかいあるかも。▼

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」 ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

スポンサーリンク

クリストとシュナーベル

今や、ジャンヌだけでなくクリストも亡くなってしまいましたが、2021年9月から1ヶ月ほどパンデミックの中で行われたエトワール凱旋門の梱包プロジェクトは観たかったなぁ。

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

いきなり映画監督を始めたときは驚いたジュリアン・シュナーベルの作品▼

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

マルセル・ブロータス

マルセル・ブロータスもワタリウムぽいセレクトです。平面作品だけでなく貴重な映像作品も鑑賞できます。▼

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

展示台の中の作品は河原温、壁面はマルセル・ブロータス作品▼

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

スポンサーリンク

他に日本人アーティストの河原温、青木陵子、伊藤存、有馬かおるの作品が展示されています。

シグマーポルケ▼

ワタリウム美術館で「視覚トリップ展 ウォーホル、パイク、ボイス15人のドローイングを中心に」

50年代のウォーホルからさわひらきの最新作まで、展示作品の幅広さはそのままワタリウム美術館の幅の広さと言えるでしょう。

ご存知の通り、美術館というにはかなり小さいスペースなので作品点数は多くはありません。しかし、個人的には懐かしい作品が多く出品されていて、随所にワタリウムらしさがあふれる展覧会でした。下世話な話、この展覧会の作品って総額いくらするの?ってくらい貴重な作品が観られます。

スポンサーリンク

視覚トリップ展基本情報

2022年1月22日(土)〜 5月15日(日)会期延長!6月26日まで 11:00-19:00 月休(3/21開館)撮影可能、動画NG

大人 1,200円 / 大人ペア 2,000円、学生・70歳以上1000円

会期中何度でも観られるパスポートチケット1500円

ワタリウム美術館

渋谷区神宮前3丁目7−6 MAP

シェア:
同じカテゴリーの記事 スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

コメントを残す