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美術館にある「茶室」または著名な建築家(現代美術家、デザイナー)が手がけた「茶室」特集!

記事の評価

美術館にある茶室、または著名な建築家(美術家、デザイナー)が手がけた茶室、あるいはその両方を兼ね備えた、美術館の著名な建築家が手掛けた茶室など、私がこれまでに実際に訪問して見学した茶室を特集します。

茶室(茶道)と言えば千利休ですが、現代では藤森照信によるユニークな茶室、フジモリ茶室を思い浮かべる方も多いでしょう。また、美術家の杉本博司やデザイナーの吉岡徳仁の硝子の茶室もすっかりお馴染みとなりました。実は世の中にはいろんな茶室があるのです。美術館と同時に茶室も見学してみませんか。

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茶室「光華」

茶室の歴史は、すなわち茶道の歴史なので遡れば鎌倉時代です。はるか昔から日本人の心を捉えて離さない茶室(茶道)は、現在もその伝統が引き継がれ後世へと繋がれていきます。まずは、美術館にある茶室からです。

東京都庭園美術館 茶室「光華」

旧朝香宮邸

旧朝香宮邸で現在の東京都庭園美術館の日本庭園にある茶室です。朝香宮鳩彦王の依頼により、武者小路千家の茶人中川砂村が設計し、大阪の数寄屋大工棟梁の平田雅哉の施工で1936年(昭和11年)に建てられました。2015年(平成27年)には国の重要文化財に指定されています。

東京都庭園美術館 茶室「光華」

茶席は小間・広間・立礼席の三席で構成されています。庭園の入場チケットがあれば誰でも見学可能です。また、年に数回特別公開の日があり、その期間は広間に入ることが可能になります。▼

東京都庭園美術館 茶室「光華」

個人的におすすめは毎年11月から12月にかけて開放される秋の特別公開です。日本庭園の見事な紅葉を茶室から眺めることができます。▼

東京都庭園美術館 茶室「光華」

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基本情報

東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)

茶室光華 立礼席のみ 10:00-16:30  月休 要庭園入場料 展覧会鑑賞券でも見学可能

東京都港区白金台5-21-9

アール・デコ満載 アンリ・ラパン デザイン旧朝香宮邸 東京都庭園美術館


游心亭の2つの茶室

赤坂の迎賓館 和風別館 游心亭は、谷口吉郎設計の1974年(昭和49年)迎賓館赤坂離宮、昭和の大改修と時期を同じくして建設されました。ここに茶室があります。見学も可能です。

赤坂離宮和風別館

茶室は、写真左の奥の離れにあります。残念ながら赤坂離宮も含めて内部の写真撮影は禁止です。

赤坂離宮 迎賓館 游心亭の茶室

游心亭は見学予約をしてガイドツアーに参加すれば見学することができます。

谷口吉郎・吉生金沢建築館

しかし!撮影できる游心亭が金沢にあります。

游心亭を設計した谷口吉郎の生家のあった場所に建てられた「谷口吉郎・吉生金沢建築館」です。ここに「游心亭」の広間と茶室を忠実に再現した空間があります。建築館が開館してる時ならいつでも見学可能ですし、撮影も可能です。▼

赤坂離宮 迎賓館 游心亭の茶室 再現 金沢建築館

正座の苦手な外国人の国賓の方々のために、椅子席のあるとても珍しい茶室です。

また、赤坂の本物の方は、マスコミの撮影用にカメラマンなどが入るスペースも確保されているので金沢よりも広いです。▼

赤坂離宮 迎賓館 游心亭の茶室 再現 金沢建築館

赤坂離宮 和風別館 游心亭

見学予約についてはこちら

東京都港区元赤坂2丁目1−1 MAP

谷口吉郎設計 迎賓館 和風別館 游心亭と金沢建築館の游心亭

谷口吉郎・吉生金沢建築館

9:30 – 17:00 月休 企画展+常設展:一般800円、常設展:一般310円

石川県金沢市寺町5丁目1−18 MAP


渋谷区立松濤美術館

白井晟一設計の渋谷区立松濤美術館には、設計した白井が美術館の中で一番のお気に入りの場所だったという茶室があります。

40年秘められた茶室

開館から40年間一般に公開されることなくひっそりと存在していた茶室ですが、開館40周年記念展「白井晟一入門」第2部建物公開の際に初めて一般公開されました。

長らく通う美術館ですが、茶室の存在すら知らなかったのでとても驚きました。

茶室があるのは地下2階です。ここでお茶会が行われたことは一度もなく、白井がなぜここに茶室を作ったのかもよくわかっていないそうですが、本人は美術館へ来ると真っ先に茶室へ向かい、くつろいでいたそうです。

観音扉のデザインの比率とか、いかにも白井晟一らしい▼

非公開

残念ながら展覧会「白井晟一入門」第2部建物公開の時の限定公開だったので、渋谷区立松濤美術館へ行っても通常は見学することはできません。次はいつ公開してくれるのかなぁ。

渋谷区立松濤美術館

10:00-18:00  月休

東京都渋谷区松濤2丁目14−14 MAP

白井晟一入門 第2部/Back to 1981 建物公開 渋谷区立松濤美術館で


目黒区総合庁舎

現在の目黒区総合庁舎は1966年竣工の建築です。当初は千代田生命保険相互会社の本社ビルとして村野藤吾が設計した建築です。村野の代表的な建築の一つと言ってもいいでしょう。

村野藤吾設計

目黒区総合庁舎として使用するために改修工事をし、村野藤吾による広場や池や外観など、なるべく当時のまま残しつつ2003年(平成15年)1月に目黒区の総合庁舎として再生しました。

3つの和室

和室がある棟は千代田生命保険相互会社の本社時代に、社員の喫茶室・厚生フロアとして利用されていました。

和室は全部で3部屋あり、茶道、華道、俳句など、社員のクラブ活動のための空間です。

和室「しじゅうからの間」の池に面した障子の桟のデザインが美しい。▼

3つの和室も美しいのですが、村野藤吾の茶室も美しい▼

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非公開

残念ながらこの和室・茶室は通常非公開です。

写真は2017年に参加した建築見学の時に撮影したのものです。

目黒区総合庁舎

東京都目黒区上目黒2丁目19−15 MAP


現代の茶室

中川砂村、白井晟一、村野藤吾と巨匠が設計した茶室を紹介しましたが、ここからは現代の茶室です。

現代の茶室は原則見学可能です。

杉本博司「聞鳥庵」

硝子でできた茶室「聞鳥庵/もんどりあん」は、現代美術家の杉本博司の作品です。2014年のヴェネチア・ビエンナーレで初公開され、ヴェネチアにちなんで「水」と「ガラス」をテーマに、日本的な要素や素材を盛り込んで建てられた茶室です。

ヴェネツィアでの数年の展示のあと、「聞鳥庵」は、ヴェルサイユ宮殿の現代美術プロジェクトに杉本が招聘された際、パリ郊外ヴェルサイユ宮殿のトリアノン離宮の敷地内のプラ・フォン池に設置されました。

京都から直島へ

▲そして、2020年京都市京セラ美術館のリニューアルオープンの時に日本に初上陸しました。▼

2021年1月31日まで京都で公開された後にベネッセアートサイト直島へ移動し、現在に至ります。

直島の美しい風景と安藤建築と「聞鳥庵」。世界中を旅して直島にやってきました。▼

直島の「聞鳥庵」公開当初は宿泊者限定公開でしたが、2022年3月22日から「杉本博司ギャラリー 時の回廊」がオープン。その展示作品として「聞鳥庵」を見学することが可能になりました。

「聞鳥庵」がある場所はベネッセハウスパークのラウンジの目の前の水盤です。以前はジョージリッキーの優雅に風に靡く彫刻があった場所です。

杉本博司ギャラリー時の回廊では「聞鳥庵」だけでなくサイトスペシフィック・ワークや写真など様々な杉本作品を安藤忠雄建築の中でじっくり堪能することができます。

訪れるならベネッセハウスに宿泊して朝な夕なに鑑賞したいですね。

杉本博司ギャラリー 時の回廊

11:00-15:00(最終入館14:00)年中無休 1,500円 呈茶(お茶とお菓子)付 要予約(宿泊者は予約不要)

ベネッセアートサイト直島

またベネッセハウスの予約はこちらからどうぞ


秋の直島その4 安藤忠雄設計ベネッセハウスパークに杉本博司の聞鳥庵


吉岡徳仁「光庵」

吉岡徳仁の「ガラスの茶室 – 光庵」は、2011年第54回ヴェネツィア・ビエンナーレにて初公開され、2015年に京都へ移動し、将軍塚青龍殿で披露されました。

2019年4月から2022年5月末までは、東京六本木の国立新美術館で屋外展示されていました。▼

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国立新美術館

コロナ前の2019年4月から展示され、展示会期が延長されたものの、2022年5月30日で展示会期が終了しました。

これまで3年間の展示期間で、さまざまなガラスの茶室光庵を見ることができました。

3月末夕暮れ時の桜と光庵です。▼

桜が散った後は、ツツジが咲きます。ツツジと光庵は4月中旬から見られます。▼

季節時間天候によって見え方が変わる光庵の様子を動画でどうぞ▼

「ガラスの茶室 – 光庵」特別公開

2019年4月17日(水)~2021年5月10日(月) 2022年5月30日(月)※期間延長 火休

10:00-18:00  金土〜20:00 見学無料

国立新美術館 

東京都港区六本木7丁目22−2 MAP

国立新美術館で見る吉岡徳仁のガラスの茶室「光庵」(展示終了)


藤森照信の茶室

茶室特集のトリを飾るのは、なんと言っても藤森照信です。フジモリ茶室と言われるその一連の茶室は、とてもユニークで、1度見たら忘れられません。

藤森照信の出身地の長野県茅野市(ちのし)にある高過庵と空飛ぶ泥船▼

私が最初に見学したフジモリ茶室は、神奈川県にある某元首相の陶芸工房にある茶室「一夜亭」です。2003年竣工で藤森照信が手がけた茶室の第一号です。

ここは、工房も茶室も藤森照信設計でした。実は、この茶室は中にも入ったのですが、残念ながら写真をweb上に出すことはできません。というわけで2番目に見学したフジモリ茶室から。

空飛ぶ泥舟

フジモリ茶室としては、一番印象に残るぶっ飛び茶室ですが、茶室としては7番目のもので2010年の竣工です。

神長官守矢史料館のある敷地内に空飛ぶ泥舟と高過庵、低過庵の3つの茶室があります。

本当にぶっ飛んでるからびっくりです。▼

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高過庵と低過庵

最初にここを訪問した時は空飛ぶ泥舟(2010年)と高過庵(2004年)の二つの茶室しかありませんでした。ですから高過庵の周りは草ぼうぼうでした。

初訪問の翌年2017年に高過庵のすぐ横に低過庵ができました。周りの雑草も刈り取られていました。▼

いつ行っても他の見学者と会うことはありません。

神長官守矢史料館や神長官裏古墳などと同じ敷地でなだらかな勾配のある土地に点在しています。実は、ここは藤森照信の生家の畑なんですね。

ですから、特に入場料がいるわけでもなく、入口があるわけでもなく、人が常駐しているわけでもなく、ただそこにあります。

というわけで終日見学可能です。ただ、照明がないので日が落ちたら見えないだろうし、とっても怖そうです。

近々新しい茶室が増えるようなので、それが完成したらまたまた訪問したいと思います。詳しくは「五庵」の記事へ▼

神長官守矢史料館

9:00-16:30 月休 入館料大人100円、高校生70円、小中50円

長野県茅野市宮川389−1 MAP


五庵

東京五輪に合わせて開催された「パビリオン・トウキョウ2021」では藤森照信設計の「五庵」を含め9つのパビリオンが公開されました。全てのパビリオンは予定通り会期終了とともに撤去・廃棄されました。

「五庵」についても主催者が撤去・廃棄しましたが、その後、藤森照信が廃材の一部を引き取ったことがわかりました。氏は引き取った廃材を一部利用して、五庵を再制作することを発表しています

場所は茅野市のフジモリ茶室群の高過庵、空飛ぶ泥舟、低過庵が立ち並ぶ藤森照信の生家の畑です。

これらと一緒に五庵が見られのは楽しみですね。早く見たい!

PAVILION TOKYO 2021 藤森照信 茶室「五庵」

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茶室徹

山梨県北杜市にある清春芸術村にある茶室です。樹齢80年の檜の一本足で支えられた茶室で竣工は2006年です。高さは地上4メートルで室内は1.7坪、高過庵よりは低めですが、中は広めです。

茶室周辺の樹木は桜で春には桜の中に浮かぶ茶室徹の姿が見られます。▼

清春芸術村には、フジモリ茶室だけでなく、安藤忠雄、谷口吉生、杉本博司らが手がけた建築があります。

茶室の先に見える円形の建物は、ギュスターブ・エッフェル建築で、アーティストのための創作の場「ラ・リューシュ」です。

もとは1900年に開催されたパリ万国博覧会のパビリオンに使用されていたもので、設計図を日本に取り寄せ1981年に再現したものです。▼

清春芸術村

10:00-17:00   月休 一般1500円、大高生1000円、小中学生入場無料

山梨県北杜市長坂町中丸2072 MAP


望矩楼

浜松市(旧天童市)にあるこの地出身の日本画家秋野不矩の個人美術館の開館20周年を記念して2018年に美術館の敷地内に建てられた茶室です。

20周年記念に美術館では、藤森照信展が開催され、展覧会と同時にこの茶室も公開されました。とってもジブリ感の強い茶室です。▼

茶室を覆うこの不思議なマチエールの正体は、地元の小学生らの手で曲げた銅板です。▼

茶室の見学は無料です。

浜松市秋野不矩美術館

9:30-17:00  月休(祝日の場合翌日休)、年末年始、展示替期間休

静岡県浜松市天竜区二俣町二俣130 MAP

初期の藤森照信建築 日本画家の個人美術館 靴を脱いで鑑賞する 浜松市秋野不矩美術館

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チョコレートハウス

チョコレートハウスの茶室は、これまで紹介したものと違い、個人邸にくっついています。くっついているのか出っ張っているのか。3階にあるのでとても眺めが良さそうな茶室です。

オーナーによると藤森氏からの提案でここに茶室を作ったそうで、住んでいるご家族は誰もお茶をやらないそうです。▼

藤森照信 設計の個人邸 チョコレートハウス

まとめてみるといろんな茶室がありますね。お茶を嗜みはしないけれど、お茶室の見学はなぜか好きです。コンパクトな和の空間こそ、実は建築家の個性や力量が出るような気がします。

建築巡りや茶室見学の参考になれば嬉しいです。

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