村野藤吾設計 目黒区総合庁舎(旧千代田生命相互会社本社ビル)建築ガイドツアーに再び参加しました

記事の評価

目黒区美術館主催の村野藤吾設計目黒区総合庁舎(旧千代田生命相互会社本社ビル)建築ガイドツアーが3年ぶりに再開されたので、5年ぶりに参加してきました。

建築ガイドツアーでは、通常は入れない屋上庭園の外側から建築全体を見回してみたり、当時のエピソードや竣工時の写真などを交えた解説を聞きながら、目黒区総合庁舎を見学します。

今回は、茶室をはじめとする和室が、新型コロナウィルスのワクチン接種会場となっていて見学できなかったのがとても残念でした。

今回コロナワクチンの接種会場となっていて見学できなかった和室。畳の上にシートが敷かれ土足で入れるようになっていました。

 

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村野藤吾

このブログでも何度か触れてきた村野藤吾ですが、簡単にまとめてみました。

1891 佐賀県生まれ、1984年宝塚にて93歳で逝去

1910 小倉工業機械科を卒業後に八幡製鉄所に入る。

1913 早稲田大学理工学部電気工学科入学しますが、1915年同大建築学科へ転学。

1918 早稲田大学理工学部建築学科卒業。同年渡辺節建築事務所入所。

1929 村野建築事務所開設(1949年村野・森建築事務所と改称)

1953 <丸栄百貨店>日本建築学会賞作品賞受賞 

1955 <世界平和記念聖堂>日本建築学会賞作品賞受賞 

1964 <日本生命日比谷ビル>日本建築学会賞作品賞受賞 

1966 旧千代田生命相互会社本社ビル(現在の目黒区総合庁舎)竣工

1967 文化勲章

1972 <箱根樹木園休息所>日本建築学会建築大賞受賞

目黒区総合庁舎は旧千代田生命相互会社の本社ビルとして19666月村野藤吾が75歳の時に竣工しました。

本館の美しすぎる螺旋階段

旧千代田生命相互保険会社本社ビル

1966年に建てられた時は、旧千代田生命相互会社の本社ビルでしたが、2000年に経営破綻し2003年に目黒区総合庁舎になりました。

村野藤吾の代表作として社屋の文化的価値を尊重しつつ目黒区総合庁舎として再生させているので、オリジナルな部分も数多く残されています。

しかし、オフィスビルから不特定多数の人が出入りする公共施設への用途変更ですから、当時の優雅な設計が損なわれてしまったところもあります。

しかし、そうは言ってもこの建築を保存しつつ大切に使っていこうということになったのは、ありがたいことです。だからこそ、今でもこの建築を見学し、使うことができるわけですから

南口玄関ホール水盤に立つ柱越しの低い窓から別館を眺める

建築ツアーガイド

実は、目黒区美術館主催の建築ツアーガイドに参加するのは2回目です。前回は5年前2017年に参加しました。

その時の様子は下記ブログを参照してください。

村野藤吾設計の旧千代田区生命険相互会社本社ビル現目黒区総合庁舎建築ツアーガイドに参加してみた!

抽選

目黒区美術館主催なので美術館のHPSNS、あとは美術館に置いてあるフライヤーなどが主な情報源です。

20224月から5月末にかけて祝日、土曜、平日の4回開催されました。参加はwebまたはハガキ、FAXによる申込で、人数が多い場合は抽選と書いてあり、実際抽選をしたようなので、すごい人気だったんですね。

なんとか抽選にあたり、参加することができましたが、どのくらいの倍率だったのでしょう。

 

5人のガイド

5年前と大きく違っていたのは、コロナ禍であることです。ですから、一緒にまわる人数もガイド担当1人と美術館の方1人を含め10人でした。

10人のグループが5グループ、各々場所が被らないようにまわっていきます。5人のガイドの中には元村野事務所の方や目黒区美術館の元学芸員の方などがいらっしゃいました。

ですから、当然ガイドさんによって内容は変わってきます。というわけで今回は前回とは別のガイドさんだったので、リピーターでしたが、初めて聞くエピソードもたくさんあって楽しめました。

今回のガイドツアーでは、ガイドの声をイヤホンで聞くという方式がとられていました。

配布されたイヤホンとパンフレット

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ガイド中の撮影禁止

また、前回はガイドを聞きながらの写真撮影が可能でしたが、今回はガイド中の撮影は禁止です。ですから、掲載している写真は、ガイドの前後に撮ったものです。

建築ガイドツアーの集合場所及びスタートは、南口玄関ホールです。

ポイントだらけの建築

目黒区総合庁舎のある場所は、千代田生命相互保険会社が建つ前はアメリカンスクールがあり、その前は牧場だったそうです。ですから、とても広い土地なのです。

敷地面積が15,975.65m2、建築面積8,834.14m2、延床面積48,075.24m2、本館が地下3階、地上6階、別館が地下3階、地上9階という大規模な建築です。

ですから、そのポイントはたくさんありすぎてとても全部を上げられません。一部サワリを上げたいと思います。

右側正面に見えるのが別館、左側が本館です。その間にあるのが村野藤吾がそこからの景色が好きだったという2階建ての渡り廊下です。

南口玄関の庇

是非、現地に行って確認して欲しいのですが、絶妙に左右非対称な玄関の庇です。まるで飛行機の羽のようです。

庇を支える柱は8本づつ、不規則に立っています。各々8本のうち2本は雨樋も兼ねているそうです。

柱の形状も村野藤吾らしさ炸裂ですね。

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南口玄関ホール

色々と左右非対称なホール。出入り口の位置は中央ではありません。

また、柱が中にある左側に対して、右側の柱は外にあります。

左には水盤と低い窓、右側は左側とは高さの違う窓の前にアクリルのオリジナル照明が設置されています。

この照明、残念ながら現在は点灯しません。

モザイク

8つのドーム状のトップライトには作野旦平によるガラスモザイクがあり、2つづつ春夏秋冬の四季が表現されています。

2022年ホールの天井とドームの改修工事が完了して、以前よりもトップライトもホールも明るくなりました。

ガイドさんはこの改修で明るくなりすぎてしまったと表現していましたが、LEDの導入及び区の公共施設ということで仕方がないと言っていました。

確かに5年前の写真と比べるとすごく明るくなりました

ガラスブロック

ここのアートはモザイクだけはありません。以前はエミリオ・グレコの彫刻がありましたが、それは撤去されてしまったので今はありません。

現在も残っているのは、天井のモザイクと岩田藤七によるガラスブロック「ファースト・ワルキメデスの幻想」です。

美しいガラスのアートが玄関ホールから本館へ誘います。

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村野藤吾の階段

「階段の魔術師」と異名を持つ村野藤吾の建築には、印象的な階段が必ずあると言っても過言ではありません。ここにも素晴らしい階段があります。この階段は村野藤吾の螺旋階段の代表作の一つです。

螺旋階段

優美な曲線を描く美しい螺旋階段。何度見ても素晴らしい。

そして、今回嬉しかったのは、5年前は点灯されていなかった照明が復活していたことです。

浮いている階段

こちらは、別の階段です。まるで飛行機のタラップのようなデザインです。螺旋階段もそうですが、階段が浮いています。

美しい螺旋階段や階段のある村野建築の記事

芦ノ湖畔に佇む自然と調和したホテル 村野藤吾設計 ザ・プリンス箱根芦ノ湖

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渡り廊下

5年前は土曜に参加したため、庁舎が閉まっていて見学できなかった渡り廊下をついに見学することができました!(多分、現在も土日にここは入れないと思いますので確認が必要!)

完全に「2001年宇宙の旅」状態の渡り廊下の2階。もちろん、巾木はなく床がアールにせり上がっています。

スリットにはガラスブロックです。

そして、これがみたかったのです!噂に聞いていた(1回目のガイドツアーで聞いた)廊下と建物のジョイントが蛇腹!ここ完全に電車!

改修前はもっと電車のような蛇腹だったそうですが、かなりドレープが無くなって平坦になってしまったそうです。

前回のガイドツアーの時のガイドさんによるとこの建物の裏テーマは「乗り物」だったのではないかという説があるとのことでした。この蛇腹を見ると益々納得ですね。

これは1階の渡り廊下です。

2階の「2001年宇宙の旅」感はありませんが、やっぱりちょっと普通じゃない。

左側の窓に目隠しがされているのは、窓の外に喫煙所が設置されたからです。▼

前述しましたが、村野藤吾はこの渡り廊下からの景色を好んでいたそうです。

しかし、現在は渡り廊下沿いに喫煙所が設けられて、喫煙者ホイホイと化してました。

これも、公共施設なので仕方がないとはいえ、村野藤吾お気に入りの景色は、喫煙者の目にはどう映っているのでしょうか。▼

また、喫煙所が設置されただけでなく、村野藤吾が好んだとされる景色は、植栽が育ちすぎてしまって見通しが悪くなったのと、池の噴水が停止されているので、当時村野藤吾が好んだ風景とは少し変わってしまいました。

竣工時はもっと植栽が低かったそうです。ですから、池も見えていたんですね。池が見えるということは、噴水も見えていたのです。(噴水は現在稼働していません)▼

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アール

総合庁舎内外の至る所にアールがあります。それだけを見ながら見学するのも楽しいかもしれません。

通常は見学はできませんが、和室が見られなかったかわりに地下3階にある千代田生命時代に使われいてた金庫室を見ることができました。

テレビなどで見るようなものすごい厚さの重そうな扉の金庫室にも驚きましたが、やっぱりここにもアールです。

実は、金庫室以外地下3階はほぼ設備室です。ですから、ほとんど人の出入りがない場所なのに、可愛い六角形の床のタイルが壁にアール状にせり上がっていてとても驚きました。(ガイドツアー中に行ったので地下3階の写真はありません)

この建築にはまだまだ、左右非対称な不思議な場所や不思議な鬼瓦、こんなところにこんな装飾!とか、紹介しきれないポイントがたくさんあります。

自分なりにテーマを決めて怪しまれない程度に探索もありですね。

今年3年ぶりに開催された建築ガイドツアー、来年も開催されることを願います。

今年人気だったから、秋に開催とかないんでしょうかね。


基本情報

目黒区美術館主催 目黒区総合庁舎建築ガイドツアー2022   終了しました

2022年4月29日(金・祝)、5月7日(土)、5月20日(金)、5月28日(土) 各日14:00~15:30

参加費600円、中学生以上、グループ参加は2名までweb、ハガキ、FAXによる申込制

目黒区総合庁舎
東京都目黒区上目黒ニ丁目19番15号MAP

アクセス:東急東横線・東京メトロ日比谷線 中目黒駅から徒歩5分

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