東京都内建築巡り<代官山その1>谷口吉郎の名建築から中村拓志、平田晃久、nendo、黒木理也、クラインダイサムアーキテクツまで。

記事の評価

山手線の外側にあるとはいえ、渋谷からも恵比寿からも徒歩圏内、坂を下れば中目黒もすぐという好立地の代官山には、人気のカフェやファッションのお店がたくさん集まっています。

週末ともなると近隣の県から着飾った若者が、長く遠くまで延長された東横線に乗って大勢訪問してきます。

以前は、駅前に同潤会アパートがあり、今は撤去されてしまった歩道橋を渡ると朝倉不動産の代官山ヒルサイドテラスが続く、緑豊かな低層の街でした。

かつてあった歩道橋から代官山ヒルサイドテラスを見る▲

まさかこの歩道橋のある風景がなくなる日が来るとは思いませんでした。▲写真右奥のヒルサイドテラスA棟の屋上にはアーティスト川俣正のインスタレーション「工事中」が展開中

駅前の同潤会アパートが解体され、その跡地に高層ビルが建ち、代官山ヒルサイドテラスの延長状にCCCが全国展開する蔦屋書店を中心とする代官山T-SITEができて、代官山もすっかり変わってしまいました。

そんな変貌著しい代官山で見るべき新旧の建築をその1、その2の2回に渡って紹介します。

代官山その1は渋谷駅から桜丘町方面へ向かった鶯谷町、猿楽町エリアを中心に掲載しています。

スポンサーリンク

青山製図専門学校  渡辺誠

設計:渡辺誠 竣工:1990年 公式HP

渋谷区鶯谷町7−9MAP

青山というから、最初は青山に学校があったのかなと思いましたが、どうやらそうではないようです。コンペで選出され、事実上渡辺誠にとっては処女作である建築です。

渡辺誠は大江戸線飯田橋駅の緑色の不思議なデザインを手掛けた人です。これを見るとああ!ってなる人多いと思います。

かなり奇を衒った外観です。中はどんな感じなのでしょうか。▲

代官山から渋谷へ向かう時に通りがかる場所にあります。不思議な立体のあるブリッジを渡るとエントランスです。▲

さて、代官山エリアの迷建築の次は名建築です。

乗泉寺 谷口吉郎

設計:谷口吉郎 竣工:1964年 公式HP

渋谷区鶯谷町10−15 MAP

代官山エリアは現代建築ばかりではありません。ここは谷口吉郎設計の寺院であり隠れた名建築です。

谷口吉郎はNYのMOMAや石川県の鈴木大拙館などを設計した谷口吉生の父にして、このブログでも紹介した迎賓館赤坂離宮和風別館游心亭や、東京国立近代美術館や、東京国立博物館東洋館など数々の有名建築を手がけています。

金沢の本人の住居跡地に2019年に開館した谷口吉郎・吉生記念金沢建築館は息子谷口吉生の設計です。

正式名称は本門佛立宗 妙證山 乗泉寺です。この導入!素晴らしいですね。▲

渋谷と代官山の中間地点とは思えない緑豊かで静かな寺院です。

上部の市松模様で蛇腹状のサッシュと深い軒下が印象的なモダニズム建築▲

芝生の広場には水盤の上に浮いてるかのように六角形の霊廟が配置されています。屋根の形はまるで蓮の花が開花したかのような柔らかなフォルムです。▲

杉板型枠による木目のテクスチャが美しいコンクリートのリブ付き柱とコンクリートの梁型が印象的な軒下の屋根▲

蛇腹のサッシワークの内側は、カラーガラスによる装飾が外部から見るよりも断然効果的で美しい。

この祈りの空間に設置されたカラーガラスはさながらル・コルビジェのロンシャン礼拝堂の寺院バージョンというところでしょうか。▲

本堂は非常に天井が高く、構造を意匠的に見せた連続パターンが本堂をより広く感じさせます。▲

地下から2階まで貫く巨大なモザイク壁画は海老原喜之助の「合掌」です。▲

裏側は表側とは違い、大谷石に白一色だけのモザイクで表現された「合掌」が。▲

これは本堂の入り口前に展示されていた非常に珍しい作品。あの木版画の巨匠棟方志功のダイナミックな鉄板画で高祖日蓮大士の「報恩抄」の一節「花は根にかへり真味は土にとどまる」が描かれています。すごくいい作品ですね。

乗泉寺は静かで心落ち着く場所です。気が向いたらすぐに訪問できる私の中で一番近くにある名建築です。

スポンサーリンク

SOHO CORNER  中村拓志

設計:中村拓志 竣工:2014年   MONKEY CAFE・MONKEY GALLERY公式HP

中村拓志(なかむら ひろし)はこのブログでも東京都内建築巡り<原宿>で紹介した東急プラザ表参道原宿東京都内建築巡り<西麻布その3>で紹介したレクランブティック東京などを手がけた若手建築家です。

SOHO CORNER  中村拓志

広島県尾道市のリゾートホテル Bella Vista SPA&MARINA ONOMICHI の結婚式用の施設リボンチャペルを彷彿とさせる外観です。竣工が同じ2014年なので同時進行していたのでしょう。

こちらは12角形をしています。経年変化により竣工時よりファサードの木の色が薄くなってきています。▲

SOHO CORNER  中村拓志

1階は誰でも利用できるモンキーカフェ、地下にはモンキーギャラリーが入っています。中央にうねるような吹き抜け空間と柱があって、その周りに螺旋階段があります。▲

SOHO CORNER  中村拓志

内部の螺旋階段で緩やかにつながるスッテプフロア。カフェ、ギャラリー、ショップ、オフィスが入っているテナントビルです。▲

夜の様子はこんな感じです。▲上階の室内の照明が点灯しているともっときれいそうです。

チャコット代官山(nendo)

旧Kashiyama daikanyamaの設計:佐藤オオキ/nendo 竣工:2019年

オンワード樫山が食とファッション、ギャラリーなどが入るライフスタイルショップとして、この地で佐藤オオキのデザインによるKashiyama daikanaymaを開業したのが2019年4月。

オープン当初はにぎわいをみせていたものの、コロナ前からアパレルのショップは足を踏み入れるのも躊躇するくらい人がいなかったので、どうなったかなぁと思っていたら、コロナもあって2021年12月にあえなく閉業。

現在は、オンワード樫山の傘下となったチャコットの渋谷本店が、代官山に移転してきました。

チャコット代官山

チャコット本店に用途変更された旧Kashiyama Daikanyama ▲

旧Kashiyama daikanyama 佐藤オオキ/nendo

この写真はkashiyama daikanyamaだった時の1階カフェのインテリアです。

カフェは結構人が入っていたと思うのですが、カフェだけでは成り立たなかったのでしょう。▲

旧Kashiyama daikanyamaの設計:佐藤オオキ/nendo

kashiyama daikanyamaは内装も佐藤オオキによるデザインでした。凝りに凝った内装でかなり予算をかけていた印象でした。この階段上の照明は今もそのままのようです。

ギャラリーだったスペースはダンスやヨガのスタジオに変わったようです。▲

旧Kashiyama daikanyamaの設計:佐藤オオキ/nendo

現在、佐藤オオキの手がけた内装にどのくらい手が加えられたのかわかりませんが、上階のレストランは、ほとんどそのままのようです。

また、チャコット代官山本店への改修に佐藤オオキは加わってなさそうです。(多分)

Maison Kitsuné Daikanyama 黒木理也

設計:メゾンキツネ 黒木理也 竣工:2016年

フランスのブランドメゾンキツネの代官山のショップです。MAISON KITSUNÉは2002年、フランス人のジルダ・ロアエックと日本人の黒木理也によって設立されたフランス パリ発のライフスタイルブランド。

設計は各地のショップやカフェ同様にメゾンキツネの創業者黒木理也によるもの。黒木は設計事務所に勤務していた経験もあるので、自分のブランドの空間を自身で手掛けるのは当然ですね。

12歳でパリに渡った黒木による和の再解釈がカフェ同様に随所に表現された空間です。

Maison Kitsuné Daikanyama 黒木理也

暖簾とか切妻屋根とか随所に日本を感じさせます。▲

Maison Kitsuné Daikanyama 黒木理也

ルーバーの影がストライプの影を落として美しい。▲

Maison Kitsuné Daikanyama 黒木理也

ホテルオークラからインスパイアされたというのも納得の空間。正方形の障子の上はキツネ型の桟が。▲

スポンサーリンク

Sarugaku  平田晃久

設計:平田晃久 竣工:2007

東京都渋谷区猿楽町26−2 MAP

平田晃久は、このブログでも紹介した太田市立美術館・図書館や、PAVILION TOKYO2021で木製の巨大なボウル「Global Bowl」を発表しています。

Sarugakuはa棟からf棟までの6つの棟からなる商業施設です。建物はすべて地上2階・地下1階の3層構造になっています。代官山の路地裏散策をするように巡回できる路面店集積型の施設です。

Sarugaku  平田晃久

開業時はアパレルブランドなどが入っていたようですが、現在のテナントは主にエステや美容院、飲食のようです。

Sarugaku  平田晃久

確かに路地裏散策のようです。楽しいけれど、商業施設だと場所が分かりにくいのかな。▲

Sarugaku  平田晃久

わかりにくいせいか、迷うお客さんが多いのか、いろんなお店の立て看板がたくさん出ていました。▲

HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE / DAIKANYAMA 深澤直人

空間デザイン:深澤直人 竣工:2016年

渋谷区猿楽町19-8 T2ビル MAP

HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKEの都内初の旗艦店。2フロアを有する台形のコンクリートの建物に薄く幅の広い梁を通し、服が浮いているように見えるコンセプトです。

HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE / DAIKANYAMA 深澤直人

LOKO GALLERY MOMENT

設計:MOMENT 竣工:2016年

渋谷区鶯谷町12−6 MAP

MOMENTは平綿久晃と渡部智宏によるデザイン事務所です。設計だけでなくプロダクトデザインやグラフィックデザイン、ブランデイングなども手掛ける事務所です。オフィスは東京都内建築巡り<広尾その2>で紹介したテレデザインの最上階にあります。

LOKO GALLERYは、2016年にオープンした現代美術のギャラリーで、2フロアの展示空間だけでなくレジデンス機能も持っている画期的なギャラリーです。

LOKO GALLERY MOMENT

1階にはカフェが入っています。以前は私立珈琲小学校という本当に元小学校の先生がオーナーのカフェが入っていましたが、現在はzenta coffeeというカフェになりました。▲

LOKO GALLERY MOMENT

テラス席が気持ち良いカフェ▲ ギャラリーの様子は代官山ギャラリー巡りの記事を参照ください。

スポンサーリンク

代官山 T-SITE/クラインダイサムアーキテクツ

設計:クライン ダイサム アーキテクツ/Klein Dytham architecture  竣工:2011年

渋谷区猿楽町16−15 MAP

代官山の新参者だと思っていましたが、もう11年経つのですね。私は以前代官山町に住んでいたのですが、旧山手通り沿いにASOができた時にはなんて遠くに!と思ったものです。そのASOの対面にできたCCCの施設が代官山T -SITEです。

今や代官山の顔ともなった代官山T -SITEのスタバはすっかりドヤリングの聖地と化しています。

クラインダイサムアーキテクツは、RCAを卒業したアストリッド・クラインとマーク・ダイサムの2人の事務所です。2人は伊東豊雄建築設計事務所の出身です。

TSUTAYAの頭文字を連続で並べたファサードはこの後、他店舗でも展開されています。施設のサインやブランドロゴなどのグラフィックは原研哉です。

代官山 T-SITE/クラインダイサムアーキテクツ

あまりにも知られている場所なので写真はあまり掲載しませんが(内部は撮影禁止)隣の槇文彦設計、朝倉不動産の代官山ヒルサイドテラスが守り続けた低層の街というコンセプトを踏襲し、経済優先で高層を建てなかったのは、評価すべきところだと思います。

その2に続く▼

東京都内建築巡り<代官山その2>個性豊かな旧山手通りの大使館から新設の東京音楽大学校舎やOAK BLDG IIなど

代官山の建築と言えば、その代表は実はここで挙げたものではなく代官山ヒルサイドテラスです。ヒルサイドテラスについては別記事がありますので参照ください。▼

建築家槇文彦と朝倉不動産が30年かけてつくり上げた低層建築の”街” 代官山ヒルサイドテラス

朝倉不動産の朝倉家の元自邸については▼

代官山にある重要文化財 旧朝倉家住宅は回遊式庭園のある築100年越えの見事な木造建築!

ミュージアムピースのようなこだわりの家具が目を見張る。ルーフミュージアムも代官山駅のすぐ近く▼

こだわりがハンパない!広々カフェとギャラリーが心地いい代官山の新スポット Lurf MUSEUM/ルーフミュージアム

代官山 建築マップ



スポンサーリンク

コメントを残す

Amazon プライム対象