コンテンツへスキップ

今も残るかつての同潤会アパートの跡を巡ってみる。そして渋谷区郷土博物館での「同潤会アパートと渋谷」展の記録


<
フォローする
シェア:
記事の評価

同潤会アパート

かつて表参道と代官山には同潤会の青山アパートと代官山アパートがありました。代官山アパートが解体されたのは1996年、青山アパートが解体されたのは2003年と比較的最近。どちらも70年以上現役の住宅として利用されていたのです。

今、その同潤会アパートの跡地は全く別の施設になっているのですが、でも痕跡を目にすることができるのです。戦前から21世紀初頭まで、都市生活を送る人々のライフスタイルも見えてくるその跡地を巡ってみましょう。

表参道ヒルズ 同潤館

まずは次は同潤会 青山アパート。

当時の建物は遺っていませんが、表参道ヒルズには青山アパートの外観を忠実に再現した「同潤館」があるのです。

▲安藤忠雄設計の表参道ヒルズの東端に建つこの建物はかつての青山アパートを再現したものです。

内部は住宅ではなくて商業施設になっていますが、在りし日の青山アパートの姿がよく分かると思います。

▲外壁を蔦が這う様子も在りし日の青山アパートそのまんま。

入居しているテナントには同潤会 青山アパート当時からのテナントもいます。

違いといえば入り口にかかるOMOTESANDO HILLSの名前だけかもしれません。

▲裏に回るとさらによく分かります。

いつもは表参道ヒルズの横に建つ昔風の建物くらいにしか思っていなくても、これが同潤会アパートをレスペクトするものだと知るとまた新鮮です。

それにしても、表参道ヒルズの端にこうして歴史と記憶が再現されているのは嬉しいですね。よくぞ再現してくれたと感謝です。

かつて、といっても20年も経っていませんが、ここに建っていた同潤会青山アパートは今に通じる日本の近代的集合住宅の先駆でもあって、それを間近で見られる建物です。

スポンサーリンク

代官山アドレス

代官山の代官山アパートの跡地は再開発され、今はタワーマンションやショッピングセンターも含む複合施設「代官山アドレス」になっています。

▲代官山は大地主の朝倉家の意向が、住宅だけではなく、住民の暮らしを豊かにする店舗やオフィス、緑地を含んだ“街”を形成するというもので、そのため低層の建物が連なっていているのが特徴です。

でも同潤会の土地は朝倉家とは関係ないので、今はこのような超高層ビルになっています。

超高層ビルは代官山ではここにしかないのですぐ目に入りますし、TV番組など映像作品のロケも多く行われていて知名度もある場所です。

表参道ヒルズの同潤館のような再現施設はありませんが、このアーチ状の通路など同潤会代官山アパートをリスペクトした意匠をあちこちに見つけることができます。

この代官山ピーコックの奥にある通路ではかつての代官山アパートの写真が展示されています

▲これがかつての代官山アパートの姿です。青山アパートと面影は似ているけど同じではない、まさに兄弟姉妹みたいな関係だったようです。

この同潤会代官山アパートの再現された室内を見られるのが渋谷区郷土博物館です。

代官山アドレスから徒歩15分くらいですから、今の代官山の街の雰囲気を感じ取りながら散歩して、郷土博物館で戦前の同潤会アパートの内部を観てみるのも面白いと思います。

スポンサーリンク

白根記念渋谷区郷土博物館・文学館

渋谷区郷土博物館・文学館は國學院大學にも近い渋谷の住宅街に建つ博物館です。

どの駅からも遠いですし知名度的にはちょっとマイナーな博物館かもしれません。

▲50年ほどに前に地元の白根氏から寄贈された土地に開設された博物館です。

渋谷区の歴史を有史以前から現代まで豊富な資料を使って紹介する常設展示、渋谷ゆかりの文学者たちの資料を常設展示する文学館からなる施設です。

また「同潤会アパートと澁谷」展のような企画展を年に何回か開催しています。

▲原則として館内は撮影禁止。企画展もほとんどの場合は撮影禁止です。

入り口ロビーには渋谷のシンボル、ハチ公の像がお出迎え。バックはハチ公が通っていた当時の渋谷駅の写真です。

ここだけは来館の記念撮影用として撮影可能になっています。

代官山アパートの内部(再現)

渋谷区郷土博物館の2階には渋谷区の歴史を辿る常設展示が行われていますが、そこにも代官山アパートの室内が再現されています

▲2階の展示室も写真撮影は禁止ですが、この部屋だけは以前からも撮影可能でした。

キャプションには「当時の文化住宅」とありますが、この「文化住宅」というのが代官山アパートのことです。

畳敷きの部屋のように見えますが、これは床にコルクを敷き詰めた上にさらに畳を敷いています。居住者の好みやライフスタイルによって和風にも洋風にも使えるようにという配慮です。

▲この部屋はたぶん単身者用。戦前の都市生活をおくるインテリたちの住まいですね。

会社に所属し電車で通勤し給与をもらって生活をする、当時としては新しいライフスタイルをおくる人々が住むための部屋です。

でも、ベランダには浴衣がぶら下がっていて、帰宅すると浴衣に着替える昔ながらの生活様式だったことがうかがえます。「サザエさん」の波平の姿を思い浮かべともらうとよいかと。

▲部屋の片隅には台所。

水道完備、都市ガスを使ったコンロも見えます

▲玄関には帽子掛けも。当時の男性は帽子を被るのが普通でしたからね。

どのような人たちがどのように暮らしていたのか伺い知れて興味深いです。

スポンサーリンク

「同潤会アパートと澁谷」展

同潤会とは

展覧会や同潤会アパートはその背景となる1923年(大正12年)の関東大震災から始まります。

その大震災からの復興を目指し全国からの義捐金をもとに設立されたのが同潤会。

そして地震に強い鉄筋コンクリート構造の集合住宅を東京と横浜に建設していき、地名+アパートという名称で呼ばれるようになります。

その中に表参道の青山アパートと代官山の代官山アパートがありました。

代官山アパートが解体されたのは1996年、青山アパートが解体されたのは2003年と比較的最近。どちらも70年以上現役の住宅として利用されていたのです。

ちなみに当時としては新しい鉄筋コンクリート造で、設計は「内田ゴシック」とも呼ばれる建築パターンで有名な内田祥三(うちだ・よしかず)とその門下生たちです。今は白金台の「港区郷土歴史博物館」になっている旧公衆衛生院や、東大の安田講堂を始めとした建物を設計したことでも知られています。

展覧会

今回その記録を紹介するのは渋谷区郷土博物館というマイナーな場所で2023年に開催されいた「同潤会アパートと澁谷」展です。

同潤会アパートを通じて関東大震災後の復興する東京とそこに住む人々の暮らしぶりが分かると共に、なかなか見ることのできない同潤会アパートの実際の部材も見られたりして、歴史や民俗に興味ある人だけでなく建築ファンにも見逃せない展覧会でした。

▲同潤会アパートは100年前(1923年)の関東大震災復興のために設立された財団法人同潤会(どうじゅんかい)が建設した、日本最古のRC造りの公共集合住宅。昭和初期に竣工した住宅ですが電気水道都市ガスというインフラ完備、トイレも水洗というモダンな作りで都市に住む人たちにとっては憧れの住宅。日本の近代建築20選にも選出されている歴史的な建築でした。

今は再開発されて表参道ヒルズ、代官山アドレスという超近代的な建物に変わっていて、面影というと表参道ヒルズの同潤館くらいしか残っていません。

この展覧会は2023年が関東大震災から100年ということもあり、震災をきっかけに建設された同潤会アパートを当時の資料や遺された部材からその魅力を探ろうという展覧会です。

 

▲これは写真撮影可能な青山アパートの階段柱。1927年、建築当時のものです。

これ以外にも館内の照明器具、備品など当時を知る貴重な資料が展示されていました。

昭和初期のモダンな住宅の内装や調度品がどのようなものだったのか、いくら見ていても飽きない濃い展示が行われていました。

▲実際に同潤会アパートで使用されていた扉。(ここも撮影可能)

右の二つは青山アパートの玄関扉。

左端は代官山アパートの食堂内階段の扉、左から2つ目は代官山の玄関扉です。

代官山アパートは施設内に食堂があったり、お風呂は大きな「文化湯」という共同風呂があったそうです。その文化湯の更衣室にはジム、モガという名前の美容院、質屋の看板などが掲出されていたようで、そうした当時の都市部の世相を知ることができる資料も展示されていました。

また青山アパートの方は代官山アパートと違って各階に共同湯があり、その代わり部屋にはお風呂はありません。このようにアパートごとの違いを比較してみるのも面白いです。

そしてトイレは大が1器だけの通称「汽車式」トイレ。しかも照明がなかったそうですが、当時としては珍しい水洗式。日本の近代住宅の見本となるような造作だったようです。

青山アパートは植栽があったりベランダの手すりが高くされたりして外から中が見えないようになったりしています。建設当時、隣に住んでいた陸軍中将の長岡外史が「天皇陛下が通る表参道に洗濯物がぶら下がっていたりするのはけしからん」など様々な注文を付けたので当初の設計が見直されたようです。でも、結果的にそれが良かったようです。

スポンサーリンク

「同潤会アパートと澁谷」展は2023年3月で終了していますが、でも2階には代官山アパートの部屋が常設で再現されています。

この部屋を見ると、どのような人たちがどのように暮らしていたのか伺い知れて興味深いでし、関東大震災後の復興する東京とそこに住む人々の暮らしぶりが分かって面白いです。

渋谷区郷土博物館から代官山アドレスまで徒歩15分くらい。近くの高樹町バス停から表参道バス停まで移動すれば表参道ヒルズの一角に同潤会アパートが再現されていますし、郷土博物館をベースに都市生活者たちの暮らしぶりを偲ぶ同潤会アパート巡りをするのも楽しいと思います

同潤会アパートと渋谷 基本情報

名称 同潤会アパートと澁谷
会場 白根記念渋谷区郷土博物館
会期 2023年1月21日(土) 〜 3月26日(日) (終了しています)
月曜休館
入館料 一般 100円、小中学生 50円
予約 不要
撮影 撮影不可(指定箇所のみ撮影可)

渋谷区郷土博物館 基本情報

名称 白根記念渋谷区郷土博物館
住所 渋谷区東4-9-1
最寄駅 渋谷駅
開館 11:00 〜 17:00 (土曜日は9:00開館)
休館日 月曜日
入館料 一般 100円、小中学生 50円
予約 不要

表参道ヒルズ 基本情報

名称 表参道ヒルズ
住所 渋谷区神宮前 4-12-10
最寄駅 表参道駅
時間 11:00〜21:00 (日曜日は20:00まで)
レストランは 23:00まで (日曜日は22:00まで)
開業 2006年

代官山アドレス 基本情報

名称 代官山アドレス
住所 渋谷区代官山町 17-6
最寄駅 代官山駅
開業 2000年

スポンサーリンク

シェア:
同じカテゴリーの記事 スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

コメントを残す