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一番広くて、一番新しい。そして、一番美しい 黒川紀章設計 国立新美術館のすべて


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乃木坂駅直結、六本木からも徒歩数分のアクセス至便な場所にあり、独立行政法人国立美術館が運営する国立の美術館の中で最も新しいのが国立新美術館です。

国立新美術館では、ルーブル美術館展のような王道から、安藤忠雄展、三宅一生展、佐藤可士和展のような建築やデザインに関するもの、カルティエ展やエルメス展などハイブランドのジュエリーやファッションなど、美術の枠にとどまらない幅広い内容の企画展やイベントを開催しています。

また、この美術館の特徴はその見事な建築空間です。この美術館へ訪問する動機としてこの空間を目にしたいと思う人も少なくないでしょう。

一度訪問したら絶対に忘れられないであろう、独創的で美しいエントランス空間内には、国立美術館には珍しく、カフェやレストラン、ミュージアムショップが複数あって、展覧会鑑賞目的でなくても訪れたくなる魅力的な場所です。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
共用部は誰でも利用可能
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国立新美術館の建築

地下1階、地上4階、敷地面積30,000㎡、延床面積約49,830㎡、展示スペース14,000㎡の国内最大規模の美術館です。

建築のコンセプトは「森の中の美術館」。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
俯瞰で見る国立新美術館

黒川紀章設計

国立新美術館の設計は、昨年取り壊された中銀カプセルタワービルなど数々の建築を世に残した黒川紀章(くろかわ・きしょう)です。

美術館の竣工が2006年、開館は翌年の2007年です。黒川紀章が2007年に参院選出馬の2ヶ月後に亡くなっているので、最後に手がけた美術館建築です。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
入り口上部は黒川紀章らしい円錐形

黒川紀章建築ではいくつか見られる円錐形の正面入口と、建物の南側の美しい曲線を描くガラスカーテンウォールで構成されたエントランスは、森の中というよりもとんでもなくソフィスケートされた都会的な大空間が広がっています。

くり返しになりますが、森の中というより波打つファサードは、海とか水を想起させ、青い空とのコントラストは非常に美しく、建築目的で訪れても満足度の高い美術館です。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
うねるカーテンウォール

みどころは建築だけじゃないんです!

館内の至る所に置かれていて、誰でも座れる国立新美術館の名作椅子については▼

 

黒川紀章が手がけた最初の美術館▼

 

中銀カプセルタワービル▼

 

美術館の敷地内にある別館については▼

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コレクションを持たない国立新美術館

国立新美術館の英語表記をご存知でしょうか。”The National Art Center, Tokyo”です。

なぜ、国立美術館なのにNational Museumではないのでしょうか。

“MUSEUM”ではない理由

国立の美術館であるにもかかわらず、”MUSEUM”を名乗らないのには理由があります。所蔵作品・収蔵作品、すなわちコレクションを持っていないからです。

美術館の重要な役割として美術作品の収集、収蔵作品の保存・研究活動は展覧会の開催と同じくらい重要です。

しかし、国立新美術館は、美術作品の収集および収蔵作品の保存・研究をしていないので、英語表記では”MUSEUM”ではなく”Art Center”と表記しています。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
ロゴマークは佐藤可士和デザイン

展覧会カタログなどの収集

では、展覧会開催以外に何をしているかというと、あらゆる展覧会に関する図録などの情報を収集・集積・研究をしています。

具体的には、近現代美術、現代美術を中心とする図書・雑誌、カタログ・レゾネ(全作品目録)、美術参考図書、美術館・博物館等の年報・紀要類およびニュースレターなどです。

現在、日本国内の展覧会カタログ(展覧会図録)の収集においては、日本で最も多く所蔵している施設です。

これら収集されているものは、ライブラリで閲覧することができます。(貸し出しはしていません)

国立新美術館の展覧会

国立新美術館で開催されている展覧会には大きく分けて2種類の展覧会があります。

一つは企画展、もう一つは公募展です。

この二つの展覧会どう見分けるの?という疑問があります。

簡単なのは美術館のチケット売り場でチケットを販売しているものは企画展です。

また、美術館のwebやSNSなどで情報発信しているのも企画展です。

一番簡単な見分け方は、企画展示室で開催しているのが企画展、展示室1-3で開催しているのが公募展です。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
隣の青山公園から見る

企画展

企画展は、国立新美術館が企画して開催する展覧会です。

主催は当然国立新美術館ですが、文化庁や東京都、新聞社やテレビ局、あるいは大使館だったり、海外の美術館と共同主催であることも多いです。

純然たる国立新美術館だけで主催している展覧会は、実はそう多くはありません。

主催がどこになっている展覧会なのか、共催や後援、特別協力、協賛にどんな企業が名を連ねているかなど、展覧会によって千差万別です。

展覧会によってどこが資金を提供しているのか、企画を持ち込んだのはどこなのか、などなどが読み解けると展覧会の見方がちょっと変わるかもしれません。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
輝く夜の国立新美術館

公募展

公募展とは、国立新美術館が開館する前は、上野の東京都美術館で開催されていた美術団体の展覧会です。

美術団体とは、明治時代の政府主催の官展を起源とする日展をはじめとする美術団体の事です。

日展の正式名称は「日本美術展覧会」です。ものすごい感じはこの名称で伝わりますが、一体何が見られるのか全くわからないのがこれまたすごいです。

現在は、このような公募展が国立新美術館と東京都美術館の両方で開催されています。

公募展は団体が賃料を払って美術館のスペースを借りています。

お金さえ払えば誰でもどんな団体でも開催できるわけではなく審査がありますが、国立新美術館の維持費の一部を、この公募展からの賃料が支えているのは間違いないでしょう。

国立新美術館の展示室では、不動産的な側面があると言ってもいいのかもしれません。

国立新美術館開催の企画展の記事▼

国立新美術館のカフェ

国立新美術館には、1つのレストラン、3つのカフェがあります。こんなにたくさん飲食スペースがあるのも国立新美術館の特徴の一つです。

これら4つの飲食店はすべてレストランひらまつが運営しています。

カフェやレストランだけの利用も可能です。その場合入館料やチケットは必要ありません。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
光が美しい吹き抜け空間

カフェ

地下、1階、2階と3ヶ所のカフェがあります。

滞在時間やお腹の空き具合などで使い分けできるのも嬉しいですね。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
逆円錐形の上にあるカフェ

▲国立新美術館2階、巨大な逆円すいの最上部に広がるティーサロンが、「サロン・ド・テ ロンド」です。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
1階エントランス空間にあるカフェ

▲1階にあるのがカフェコキーユで、テラス席の利用も可能な一番広くて一番カジュアルなカフェです。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
地下のカフェテリアは食事メニューも豊富

▲地下1階にあるのが、カフェテリア カレです。

 

ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ

天井高21メートルのアトリウムにそびえ立つ二つの逆円錐の高い方に位置するのは、正統派フレンチにしてフランス料理界の巨匠ポール・ボキューズの料理を気軽に楽しめるブラッスリーです。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
逆円錐形の高い方にあるポールボキューズミュゼ

リヨンの郷土料理を中心に伝統的な料理が並びます。

コース料理のほか、アラカルトや、開催している展覧会コラボメニューも期間限定で楽しむことができます。

お子様メニューもありますよ。

各店舗の営業時間等はこちら

また、飲食店だけでなく1階と地下にミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー」もあります。

国立新美術館は、展覧会鑑賞だけでなく、買い物やグルメも楽しめる美術館なのです。

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国立新美術館の昼と夜

波打つガラスのファサードは、昼は空の色を反射してブルーに、そして夜は中の照明が灯って提灯やランプのような表情を見せます。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
巨大な美術館の全体を見渡すのは大変

▲隣にある青山公園から眺めるとこんな感じです。

かなり激しく波打っているのがわかります。

昼間の国立新美術館は、太陽の光を浴びて何か生命体のようにも見えます。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
円錐形と内部の照明の色が違いも面白い

▲夜は、内部の照明が灯って温かみのある美術館に。

企画展開催中の金曜土曜は20時まで夜間開館していますので、リピーターの方は夜間開館の訪問もおすすめです。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
晴天の美術館は美しい光景が広がる

▲晴天の昼間の美術館の階段の美しさは何度訪問しても見惚れます。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
静かな夜の美術館

▲夜の美術館の階段。蛍光灯の光が階段を浮かび上がらせます。

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国立新美術館の四季

展覧会鑑賞が1番の目的ではあるのですが、時には季節を感じるために訪問することもあります。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
桜ごしの美術館

特におすすめは桜の季節です。1年のうちのほんの2週間ほどの期間ですが、毎年欠かさず見に行っています。

2022年はちょうどダミアン・ハーストの個展「桜」が開催されていて美術館の内部も外も満開の桜で満たされていました。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
5月に楽しめる躑躅

▲桜が終わるとツツジです。色とりどりのツツジの花が美しい。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
右に見えるのは六本木ヒルズ、左には東京タワーも見ることができる

▲終わりかけの葉桜とつつじの共演。共演の時期はほんの一瞬です。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
六本木アートナイト2023の展示鴻池朋子のオオカミベンチと新緑

▲新緑の季節も気持ちいい美術館です。

国立新美術館の場所

東京メトロ千代田線乃木坂駅からだと6番出口から美術館に直結していますので迷いようがありません。

黒川紀章設計 国立新美術館/the national art center,TOKYO
地下鉄から美術館への階段部の天井には築地のはらの作品「ねずみっけ」(会期終了)

一番便利で近い推奨アクセスは乃木坂駅からの訪問です。

次に近いのは都営大江戸線の六本木駅から約4分、東京メトロ日比谷線の六本木駅から約5分です。

周辺のカフェや飲食情報を含む美術館の情報は動画を参照ください。▼

私は近くに住んでいるので、展覧会鑑賞はもちろんのこと、カフェ利用やレストラン利用、時にはその空間に身を置くことを目的として訪問することもあります。

国立新美術館は、私にとって訪問回数の多い美術館の一つです。

足繁く通う理由の一つに、その広さと建築空間の魅力があることは間違いありません。

国立新美術館は東京で行くべき美術館のひとつであり、東京で絶対みるべき建築でもあります。

美術館のロゴマークを手がけた佐藤可士和の展覧会の記事▼

基本情報

国立新美術館


10:00 – 18:00 

企画展開催中の金土は夜間開館〜20:00

火曜休館(祝日の場合開館し翌平日休館)

チケット料金は展覧会によって異なる

東京都港区六本木7丁目22−2 MAP

アクセス:東京メトロ千代田線乃木坂駅青山霊園方面改札6出口(美術館直結)、東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩約5分、都営地下鉄大江戸線六本木駅7出口から徒歩約4分

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