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「令和の蔵出し」展 未公開だった岡本太郎の作品を一挙公開。開館25周年を迎えた小さな美術館の秘蔵作品展


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南青山の岡本太郎記念館で開催されている日本の偉大な芸術家、岡本太郎の未公開作品を公開する展覧会「令和の蔵出し」。

1988年の開館から25周年。その間、数々の貴重な作品や資料を使った展覧会を開催してきましたが、題名が分からなかったり作品の痛みが激しかったりという様々な事情から展覧会では公開できなかった作品が未公開のまま収蔵されているそうです。

そうした未公開作品を一挙に公開、まさに”蔵出し” するのが今回の展覧会です

 

▲例えば写真左の陶器作品。

これは制作年が不明、タイトルも不詳ということで美術館の片隅に収蔵されていたものです。このような作品が展示されていて、岡本太郎の創作の秘密や作品を制作する過程が見えてくる貴重な展覧会になっています。

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令和の蔵出し 第一展示室

大阪万博での「太陽の塔」、今は渋谷駅に展示されている「明日の神話」といった作品で知られる芸術家で、世界的にも多くのファンがいます。

あのレディ・ガガも来日した際にはここ岡本太郎記念館に足を運び、岡本太郎の作品集を購入しています▼

▲「令和の蔵出し」展は岡本太郎記念館に2つある展示室で開催されています。

こちらは第一展示室の展示作品。平面作品と立体作品が並んでいます。

未公開だった事情を想像しながら鑑賞するので、いつもの展覧会以上に鑑賞時間が必要かもしれません。

▲例えばこれは「呪文」、1963年の作品です。

この作品がなぜ未公開だったかというと・・・

▲剥落が激しくかなり傷んでいます。

剥落した部分は丁寧に集められ保存されているのですが、いかんせん制作当時の写真などの資料がなく、修復することが叶わないのだそうです。

このように様々な事情で公開できなかった作品が展示されています。

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令和の蔵出し 第二展示室

続いて第二展示室。

▲太陽の塔の原型や雑誌といった資料が展示されています

▲第二展示室で否応なしに目に入るのがこの作品。

タイトルは「群生」、1969年の制作です。

▲質感が違うのがこれが絨毯だからです。

しかも横幅5.5mという巨大な作品。

なぜこれが今まで未公開だったのだろうと不思議に思える作品です。

これまで未公開だった秘蔵作品を観ることができたり、貴重な資料も見ることができて、展示点数こそ少ないけど岡本太郎に関心のある人には貴重な展覧会ではないでしょうか。

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岡本太郎記念館のサロン

「令和の蔵出し」展を観たら、館内のサロン、アトリエそれと庭の作品も忘れずに鑑賞しましょう。

いつも作品が入れ替わっているので見過ごすことはできないのです。

▲「令和の蔵出し」開催中のサロンの様子です。

展覧会ごと、季節ごとに微妙に入れ替わりや配置替えがあるので、いつも間違い探し状態です。

▲恒例の衣替えをした岡本太郎人形。

今年はパナマ帽と緑色の半袖シャツのようです。

▲これは2022年夏の岡本太郎人形。

この時はストライプ柄のシャツにスラックス、そして帽子でした。

▲2022年春の「赤と黒」展の時はキャメルカラーのスーツ。ノーネクタイのワイシャツ。

▲これは数年前の様子。

ダークスーツだけどネクタイは岡本太郎自身のデザイン。

▲これはさらに昔の様子です。

白のスーツにやはり自分でデザインしたネクタイ。なんか旧いフランス映画に出てくるギャングのボスみたいにも見えます。

▲もう一度2023年夏の岡本太郎人形を。

ちなみに、衣装替えの際に使う服は、岡本太郎が生前着ていたものを今も利用しているのだそうです

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岡本太郎のアトリエ

ここ岡本太郎記念館は実際に岡本太郎が住居として使用していた建物なので、当然創作の現場であるアトリエもあり、今も当時のまま残され見学することができます。

▲これは2023年「令和の蔵出し」展の際のアトリエです。

イーゼルに置かれている作品はたぶん展覧会と連動していて、未公開作品だと思われます。

▲それ以外の作品も毎回微妙に異なっています。

▲2022年、「岡本太郎の1世紀」展開催中のアトリエの様子です。

作品の入れ替えや配置替えが行われているのが分かります。

▲これは少し前の「赤と黒」の頃のアトリエ。

サロンやアトリエの様子を確認するのも岡本太郎記念館を訪問する楽しみの一つです。

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庭と太陽の塔

岡本太郎の作品は館内だけでなく、その緑が自然のままに生い茂る庭にも点在しています。

▲岡本太郎らしい不思議な造形の生き物などの彫刻作品が無造作に置かれています。

一つ一つの作品というより、この空間自体が岡本太郎ワールドとしての一つの作品のようです。

ちなみに庭は入館料を払ったお客さんだけが入れます。無料ではないので注意しましょう。

 

ベランダから庭を見下ろしている太陽の塔。これも見どころの一つですね。

写真撮影について

岡本太郎記念館での撮影は原則として撮影OKです。企画展によっては撮影NGな作品もあるので、念のため確認しながら鑑賞しましょう。

ただ、撮影は可能でも作品に手を触れることはNGです。この点は受付でも注意されるので気をつけましょう。たぶん撮影に夢中になって作品に触れてしまう人が多いのだと思います

展示室には「座ることを拒否する椅子」が置かれていますが、それはもちろん座るのは禁止です。でも庭に置かれている椅子は座っても大丈夫ですから座ることを拒否する椅子の座り心地を試してみましょう。

鑑賞時間の目安

第一展示室が10分、第二展示室も約10分。作品を一つ一つ丁寧に観ていけば30分くらい必要です。

サロンとアトリエを見て、庭の作品群を見ても合わせて1時間弱くらいでしょうか。

ただ岡本太郎記念館が初訪問の方は、サロンに並ぶ作品の数々、アトリエの空間と作品たち、そして庭の作品群と見どころが多いので1時間くらいあっという間に過ぎてしまいます。初訪問の場合は最低でも1時間、できれば1時間半くらいを目処にすると良いでしょう。

また、この展覧会も岡本太郎記念館も予約不要です。それと館内は土足厳禁。用意されたスリッパに履き替えます。

ミュージアムショップとカフェ

館内1階のホールにミュージアムショップが併設されています。

岡本太郎の関連書籍、グッズなどが購入できます。

▲また「ア・ピース・オブ・ケイク」というパンケーキが美味しいミュージアムカフェも併設されていて、こちらは岡本太郎記念館の入場者でなくても利用が可能です。

近くのAPOCと同じパンケーキが食べられます。

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岡本太郎記念館の建築

岡本太郎記念館は岡本太郎の友人で、ル・コルビュジエの弟子でもある坂倉準三による設計です。

戦前ここは岡本家が渡仏するまで暮らしていた住居だったのですが、空襲で焼失していまい、戦後岡本太郎が再建しています。

全体としては、展示室やア・ピース・オブ・ケイクの入る旧館と、アトリアなどが入る展示棟が隣接して建っています。

▲岡本太郎の描いた顔とサインが壁面に見えるこの建物が「旧館」。岡本太郎の希望だという面白い屋根の形がこちら側からだと良く分かりますね。

この旧館の1階には「ア・ピース・オブ・ケイクス」や受付にホールなど。2階には第一、第二の2つの展示室があります。

その右に見えるのが「展示棟」。ここにサロンやアトリエが入っています。

▲今は2つの建物を無理やり繋げているので、旧館ホールから展示棟サロンへ通じる通路は開口部の寸法が異なり ”頭上注意” の貼り紙だらけ。

でも岡本太郎の作品の世界(旧館)と岡本太郎のリアルな世界(展示棟)を行き来する良いアクセントになっていると思います。

ちょっと待った! 帰る前に

「岡本太郎の1世紀」展を見て、サロンやアトリエを見学し、ミュージアムショップでお土産を買い、庭の作品たちも見て回り、最後にミュージアムカフェでひと息ついて。

さぁ帰ろうという前に、見ておくべき岡本太郎作品はまだありますよ。

岡本太郎記念館のブロック塀に沿って裏手の方に回り込んでみましょう。門扉に使われているのは岡本太郎のアイアンワークです。

ここまで見て初めて岡本太郎記念館コンプリートです。

▲また、ブロック塀の角のところに消えかかった「殺すな」の文字があります。

岡本太郎の有名なメッセージですが、ブロック塀に書かれていたのは実は岡本太郎のものではありません。2013年に明日の神話事件を受けてChim↑Pomがここで展覧会を行った際のインスタレーションの名残です。10年経ってほとんど消えかかっているので、今のうちによく見て岡本太郎とChim↑Pomのメッセージを受け止めてみましょう。

岡本太郎記念館をまだ訪問したことが無い方も、この機会に岡本太郎の創作の裏舞台も垣間見える記念館を訪問してはどうでしょう。

展示室の秘蔵蔵出しの岡本太郎の未公開作品、サロンにアトリエそして庭など映え写真のポイントだらけです!

基本情報

「令和の蔵出し」


2023年7月13日(木) - 11月26日(日)  火曜日休館

10:00 – 18:00

一般650円、小学生300円

予約不要

岡本太郎記念館

港区南青山 6-1-9 MAP

アクセス:地下鉄表参道駅より徒歩8分

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