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渡辺 篤「(アイムヒア プロジェクト) 私はフリーハグが嫌い」を国立新美術館に見に行こう!


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2022年から国立新美術館で始まった「NACT View」シリーズの第3弾がスタートしました。

NACT Viewとは世界的建築家黒川紀章が設計したガラスのカーテンウォールが美しい国立新美術館のパブリックスペースを活用し、若手から中堅のアーティストや映像作家を招聘して、現代の多彩な表現を紹介していく画期的なシリーズです。

これまでにエントランス空間を真っ赤に染めた玉山拓郎の「Museum Static Lights」、かわいらしいネズミが縦横無尽に動き回る築地のはらの「ねずみっけ」など紹介してきました。

今回は、自身も引きこもりの経験がある元引きこもりアーティストの渡辺篤です。

光が降り注ぐ国立新美術館のエントランス空間で渡辺篤のどんな作品が見られるのでしょうか。

渡辺 篤「(アイムヒア プロジェクト) 私はフリーハグが嫌い」国立新美術館,2023年
渡辺 篤(アイムヒア プロジェクト) 「私はフリーハグが嫌い」国立新美術館、2023年
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渡辺篤(アイムヒアプロジェクト)

1987年生まれのアーティスト渡辺篤は、ひきこもりに焦点を当てたプロジェクト「私はフリーハグが嫌い」を2021年から展開しています。

自身もひきこもりの経験者である渡辺は、引きこもりの当事者と協力し、アートを通じてこの引きこもりという社会的な問題に取り組んでいます。

また、渡辺は2018年より「アイムヒアプロジェクト」として、孤立感を感じる人々と共同で作品を制作し、美術館を通じて他者との対話と共感を促すプロジェクトも行っています。

今回の、「フリーハグは嫌い」は渡辺篤が展開する「アイムヒアプロジェクト」の一部であり、渡辺篤自身がアイムヒアプロジェクトそのものであり、アイムヒアプロジェクトとは渡辺篤自身であるのでしょう。

渡辺 篤「(アイムヒア プロジェクト) 私はフリーハグが嫌い」国立新美術館,2023年
渡辺 篤(アイムヒア プロジェクト)「 私はフリーハグが嫌い」国立新美術館 、2023年

「ここにいない人の灯り」

2020年、渡辺篤は「同じ月を見た日」というプロジェクトで、コロナ禍で孤立感を抱えた人々に月の写真を呼びかけ、それを集めた作品を制作しました。

その中の作品「ここに居ない人の灯り」は、ポスト・コロナの孤立や孤独に対する応答として展示されました。

渡辺 篤「(アイムヒア プロジェクト) 私はフリーハグが嫌い」国立新美術館,2023年
渡辺 篤(アイムヒア プロジェクト)「 私はフリーハグが嫌い」2023、「ここにいない人の灯り」2021/2023、国立新美術館、2023年

この作品は、美術館空間に取り付けられた球体状のライトです。

実は、このライトのスイッチはひきこもりの当事者たちによって遠隔操作されています。

無作為に点滅しているように見えるライトの光は、美術館訪問が難しい人々からのメッセージなのです。

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「私はフリーハグが嫌い」

2021年から始まった「私はフリーハグが嫌い」プロジェクトでは、渡辺篤が新型コロナ収束後の社会における孤立と孤独に焦点を当てています。

このプロジェクトでは、フリーハグという象徴的な行為を通じて他者とのつながりを促し、既存の社会包摂のあり方を批評的に捉えています。

渡辺は過去に体験した自身のひきこもり経験を元にこのプロジェクトを展開しているので当事者との関係を尊重しながら作品制作を行いました。

渡辺 篤「(アイムヒア プロジェクト) 私はフリーハグが嫌い」2023、「ここにいない人の灯り」2021/2023、国立新美術館,2023年
渡辺 篤(アイムヒア プロジェクト)「 私はフリーハグが嫌い」2023、「ここにいない人の灯り」2021/2023、国立新美術館、2023年

展示室側から見ると扉の立体作品です。

反対側にまわると..

渡辺 篤「(アイムヒア プロジェクト) 私はフリーハグが嫌い」2023、国立新美術館,2023年
渡辺 篤(アイムヒア プロジェクト)「 私はフリーハグが嫌い」2023年、国立新美術館,2023年

アーティストと当事者がハグをしている写真と共にその方に関するエピソードが書かれています。

エピソードを一つ一つを熟読していくと我々が日常的に何も考えることなく扉を開けて外出するという当たり前の行為が、ここに登場する方々にとっては、そんなに簡単なことではないことを強く感じました。

渡辺 篤(アイムヒア プロジェクト)「 私はフリーハグが嫌い」2023年、国立新美術館,2023年
渡辺 篤(アイムヒア プロジェクト)「 私はフリーハグが嫌い」2023年、国立新美術館,2023年

▲2回目に訪問したらそれぞれのパネルに色が付いていることがはっきりとわかりました。晴天の日の上の写真と比較すると一目瞭然です。

雨や曇りの日、そして夜になるとその効果がよりはっきりわかります。

このインスタレーションは、夜間開館しているときに訪問するのがベストなのかもしれません。

「ここにいない人のフリーハグ」

ビデオプロジェクション、60分

アーティスト渡辺篤自身が“FREE HUGS FOR ABSENTEES”(ここに居ない人のためのフリーハグ)というネオンサインを掲げ、渋谷駅前で10時間連続して立ち続ける様子を捉えたノーカット長回しによるタイムラプス映像です。

渡辺 篤「ここにいない人のためのフリーハグ」2023、国立新美術館 、2023年
渡辺 篤(アイムヒアプロジェクト)「ここにいない人のためのフリーハグ」2023、国立新美術館、2023年

タイムラプスと言えども10時間ですから、映像作品は60分に及びます。

賑やかなエントランスのカフェ空間に映し出される映像が訴えかける色のない無言のメッセージと、美術館空間の目にも眩しい空間との対比が、引きこもり当事者と現実世界との対比そのもののようで胸が詰まります。

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「私はフリーハグが嫌い(ビル屋上でのアクション)」

ビデオプロジェクション、60分

渡辺 篤「ここにいない人のためのフリーハグ」2023、国立新美術館 、2023年
渡辺 篤(アイムヒアプロジェクト)「私はフリーハグが嫌い(ビル屋上でのアクション)」2023、国立新美術館、2023年

六本木駅から来た人は見逃しがちな場所に展示されている映像作品なので、六本木からアクセスする時は要注意です。

というのもこの作品、東京メトロ千代田線からアクセスする地下通路の階段の踊り場に投影されているのです。

渡辺 篤(アイムヒアプロジェクト)「私はフリーハグが嫌い(ビル屋上でのアクション)」2023、国立新美術館、2023年
渡辺 篤(アイムヒアプロジェクト)「私はフリーハグが嫌い(ビル屋上でのアクション)」2023、国立新美術館、2023年

こちらは、エントランスの映像作品と違ってカラー映像ですが、やはり音はありません。

静かに渡辺篤が訴えるメッセージを受け取りましょう。

コロナによってソーシャルディスタンスという言葉が生まれ、他者とのコミニュケーションのあり方が問われました。

一連のインスタレーション作品は、アフターコロナにおける他者との在り方、また社会から断絶している人々の存在を個々が認識するきっかけになるのではないでしょうか。

まずは、我々がそういう方々の存在を知ること、認識することがスタートなのかなと感じました。

アイムヒアプロジェクトが見られる展覧会▼

過去のNACT View▼

基本情報

NACT View 03 渡辺 篤(アイムヒア プロジェクト) 私はフリーハグが嫌い
 ~ 10:00 – 18:00 企画展開催中の金土は20:00まで火曜休館観覧無料

国立新美術館 1Fロビーほか

東京都港区六本木7-22-2 MAP

アクセス:東京メトロ千代田線乃木坂駅青山霊園方面改札6出口(美術館直結)、東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩約5分、都営地下鉄大江戸線六本木駅7出口から徒歩約4分

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