コンテンツへスキップ

カプセルがSHUTL/シャトルとして再生!黒川紀章設計のメタボリズム建築 中銀カプセルタワービル


<
フォローする
シェア:
記事の評価

建築家黒川紀章(くろかわきしょう)が設計し、世界で初めて実用化されたカプセル型の集合住宅「中銀カプセルタワービル」は世界中から「是非とも保存を!」の声を受けつつも2022年に解体されました。

黒川紀章は当初カプセルを交換したり、移動させたりしながら、新陳代謝していく全く新しい建築、すなわちメタボリズム建築としてこのカプセルタワービルを計画したのです。

しかし残念ながらカプセルは一つも交換されることなく、中銀カプセルタワービルは老朽化し、昨年解体されてしまいました。

1972年に竣工し2022年に解体されるまでの50年間、中銀カプセルタワービルは多くの人に親しまれ、東銀座のアイコン的存在でした。

そんな中銀カプセルタワーのカプセルが、23基保存されているという話は聞いていました。

今回、保存されていたカプセルが修復され、見学できるという嬉しいお知らせを受け早速見学に行ってきました。

スポンサーリンク

SHUTL(シャトル)

お声がけいただき早速出かけたのは、もともと中銀カプセルタワービルがあった場所から徒歩10分ほどの場所にあるスペースでした。

ここは、松竹株式会社が中銀カプセルタワービルのカプセルを2基を受け継ぎ、SHUTL(シャトル)として運営する場所です。

どういうことかというと、松竹がカプセル2基をアート&カルチャースペースとして使っていく、これまでにない全く新しいレンタルスペースです。

「日本文化の伝統を継承、発展させ、世界文化に貢献する」という松竹グループのミッションに基づき、東銀座エリアを日本文化の発信拠点とする取り組みの一貫で、伝統と現代を結びつけた「未来のオーセンティック」を体現するスペースです

竣工当時の姿に修復された、8.5平方メートルのオリジナル・カプセルです。

当初は、ビジネスマンのセカンドハウスまたはオフィスとして構想された空間です。

▲中銀カプセルタワービルの特徴でもある丸窓はそのまま。

建設当時と同じように円形の窓の蛇腹のスクリーンやベッドも据え付けられています。

▲最新式だったSONYのトリニトロン式カラーテレビ、FMラジオなども聴けるオーディオ、オープンリール式のテープレコーダー、ダイヤル式の電話機なども当時のままです。

多忙を極める都会のビジネスパーソンのセカンドハウスとして、あるいはスモールオフィスとしての利用が念頭に置かれていたことがよくわかる設ですね。

解体したカプセルの姿を残した、スケルトン・カプセルです。

生々しい壁面塗装と剥き出しの鉄骨に囲まれたカプセルの姿は、解体前には見ることのできなかった姿です。

▲SHUTLの施設内部に収まるコンパクトさ。内部面積は約10平方メートル。だいたい6畳間くらいの広さです。

▲内部の様子です。

ここにユニット式のバスルームなどが設置されていたのです。何もないと意外と広く感じます。

▲外側の壁面は建設当時のもので、今回全く手を加えていないそうです。

50年前の施工当時の痕跡を目の当たりにすることができます。

また出入り口の両脇にはカプセルをビルの筐体に引っ掛けるためのフックも残っていて、どのような仕組みであの中銀カプセルタワービルが実現されていたのか想像できるようにもなっています。

オリジナルのカプセル、スケルトンになったカプセル。世界的にも重要な建築の一部がこのような形で活用され黒川紀章もきっと喜んでいるでしょう。

ここは今後の展開にも期待大です。

スポンサーリンク

SHUTLのスペース

中銀カプセルタワービルのカプセルが2つ収まるSHUTLは今後レンタルスペースとして文化発信のために利用されていくので、そのための施設も用意されています。

▲ひとつは2基の建物の横に位置する「アウター・スペース」。

壁面に作品を掲示したり、あるいはちょっとしたパフォーマンスなどが行なえます。

ちゃんとパフォーマーが楽屋と行き来できるよう動線が設計されているのはさすが松竹。

そして建物内の2基のカプセルの間の「フリーダムスペース」。建物の壁面はもちろん、カプセルの壁面も展示スペースとして利用することができるそうです。

これからSHUTLでは黒川紀章のカプセルと様々なアートとのコラボレーションが見られるようなので要チェックです。

逆に言うと、今のようにカプセルだけの状態が見学できるのは2023年10月7日(土)、8日(日)の一般公開の後はしばらく予定がありません。

中銀カプセルタワー好き、建築好きは是非見ておきたい!

カプセル一般公開情報

期間:2023年10月7日(土)、10月8日(日) (終了しています)

時間:13:00 – 19:00

※2023年10月9日(月)から展覧会準備のためCLOSE

入場料:無料

カプセルのみの状態が見学できます。

▲SHUTLの場所は東銀座の松竹の本社が入る東劇ビルの裏手です。

歌舞伎座や東劇、新橋演舞場など松竹の施設が集中しているエリアに「未来のオーセンティック」を目指すスポットが誕生したわけです。中銀カプセルタワービルのカプセルという1970年代の日本を代表する文化と未来に向けた様々なアートが出会う場として今後の展覧会やイベントに期待が高まります。

中銀カプセルタワービルの記事▼

中銀カプセルタワービル見学の記事▼

スポンサーリンク

「伝統のメタボリズム〜言葉と文字〜」展

素のカプセルを見られた一般公開後はオープニング展示シリーズの第1期として「伝統のメタボリズム〜言葉と文字〜」展が開催されます。

期間は2023年10月13日(金)から11月5日(日)まで。

詩人の最果タヒ(さいはて・たひ)とデザイナーの佐々木俊(ささき・しゅん)、現代美術家の松田将英(まつだ・しょうえい)、デザイナーの三重野龍(みえの・りゅう)らによるグループ展です。

▲オリジナルの姿を残すカプセルAでの松田将英のインスタレーション。

代名詞の《The Laughing Man》かと思いきや、黒川紀章へのレスペクトと、そこからイメージを膨らませた見事なインスタレーションでした。地球外生命体へ人類の存在を知らせるアレシボ・メッセージやパイオニア探査機のメッセージプレート、レイ・ハラカミのBGMなどまさにパーフェクト。

▲最果タヒ+佐々木俊によるインスタレーション。詩人とグラフィックデザイナーのコラボとは? と思っていたら、このような表現でした。

▲そしてドンガラのカプセルBを使った三重野龍の作品。

会期は2023年10月13日から11月5日までの1ヶ月弱です。SHUTLの新規オープン記念の一般公開では2日間で数百人の見学者があったそうです。

伝統のメタボリズム展は会期が長いのでそこまで混雑することはないと思いますが、それでも週末は混雑を覚悟しておく必要がありそうです。

伝統のメタボリズム〜言葉と文字〜


会期:2023年10月13日(金)〜11月5日(日)

開廊 : 月・木・金・土・日・祝

時間 : 13:00 – 19:00

入場料: 無料

東京都中央区築地4-1-8 MAP

アクセス:東京メトロ「東銀座駅」5出口・徒歩3分、東京メトロ「築地駅」2出口・徒歩4分

SHUTL 基本情報

SHUTL(シャトル)


開廊 : 月・木・金・土・日・祝

時間 : 13:00 – 19:00
(開廊日、時間は展示・イベントによって異なります)

東京都中央区築地4-1-8 MAP

アクセス:東京メトロ「東銀座駅」5出口・徒歩3分、東京メトロ「築地駅」2出口・徒歩4分

スポンサーリンク
シェア:
同じカテゴリーの記事 スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

コメントを残す