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国立映画アーカイブで開催中の「和田誠 映画の仕事」。ポスターや監督作そして貴重なコレクションまで、映画好きの鑑としての和田誠


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京橋の国立映画アーカイブ(略称NFAJ)で、グラフィックデザイナーでイラストレーターで映画監督でもある和田誠の映画に関する仕事とコレクションを集めた《和田誠 映画の仕事》展が開催されています。

本職はイラストレーターでグラフィックデザイナーなのですが、幼少の頃からの映画好きが昂じて映画のポスターなどを手掛け、また映画をモチーフにしたイラストも人気を集め、さらには監督として映画も制作してしまう。しかもその映画が傑作だったりするという映画好きの鑑とも言える方です。

ちなみに妻は平野レミ。この方は本職は歌手なのですが、NHKの「きょうの料理」などに料理愛好家として出演するのでそちらでの活動の方が有名かもしれません。

▲その和田誠の映画にまつわる作品やコレクションが日本の映画の総本山とも言える国立映画アーカイブで展示されるのですから、和田誠ファンはもちろん映画ファンにとっても見逃せない展覧会です。なんといっても和田誠のイラストを見ながら映画ファンとしての知識も問われますからね。

この展覧会は常設展の「日本映画の歴史」と合わせた観覧料が250円。美術館での展覧会とは桁が一つ違うお得なもの。

会期は2024年3月24日(日)まで。アカデミー賞の発表に合わせて予習復習を兼ねて訪問するのも楽しいかもしれません。

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和田誠 映画の仕事

NFAJの7階にある展示室の半分近くを使って和田誠の映画に関する仕事を、映画を「知った・描いた・語った・集めた・撮った」という5つの切り口で展示しています

基本的には映画のポスター、書籍(主に映画関係)の装丁、自身の書籍(だいたい映画関係)、監督した映画の史料、そして貴重なコレクションなどです。

▲和田誠のイラストは映画好きな方なら必ず見たことがあると思います。

とにかく映画が好きなんだということがそのイラストからも伝わってきます。

映画という権利関係がいろいろ複雑なメディアの展覧会なので写真撮影はNGなんだろうなと思っていたら、この展覧会は全面的に撮影可能でした。もちろんフラッシュの使用と動画撮影は禁止です。

▲かつて新宿にあった映画館「日活名画座」(今の新宿マルイ本館)のポスター。

無報酬だったけどまさに映画好きなイラストレーター和田誠の原点的ポスターです。

上映されている映画は60年代初頭らしいラインナップですが、それより50円という入場料がすごい。今の価値で600円くらいですものね。

▲1965年のグラフィックデザインの展覧会「ペルソナ」出展作品です。

粟津潔や横尾忠則らが出展する展覧会に和田誠が出展したのが映画俳優たちのシルクスクリーン。この頃から筋金入りの映画好きイラストレーターだったのですね。

右上から下に向かって、フランク・シナトラ、ジーン・セバーグ、ソフィア・ローレン、ブリジット・バルドー、オードリー・ヘップバーン、モニカ・ヴィッティ、ジェームズ・スチュアート、マルチェロ・マストロヤンニとジャック・ペラン、ピーター・オトゥールです

▲これは2011年の個展から。

左上から右に向かって「アパートの鍵貸します」、「道」、巴里のアメリカ人」、「羅生門」。

下の段は「スティング」、「ゴッドファーザー」、「メリー・ポピンズ」。

正確さより映画の雰囲気が伝わってくるようなイラストです。

▲これは「映画監督」という個展からのイラストです。タイトル通り古今東西の映画監督たちが描かれています。

左の列が上から、フランク・キャプラ、ヴィンセント・ミネリ、フェデリコ・フェリーニ、クリント・イーストウッド、ウディ・アレン。

右の列がセルゲイ・エイゼンシュタイン、ジョン・ヒューストン、スタンリー・キューブリック、ジャン=リュック・ゴダール、スティーブン・スピルバーグです。

もう見ているだけで楽しくなりますね。

▲和田誠による装丁書のギャラリーです。

映画評論家やエッセイストたちの映画書を数多く装丁しています。

▲映画ファンなら一度はやってみたいのが映画監督。もちろん和田誠も何本か監督しています。

なかでも真田広之主演の「麻雀放浪記」と小泉今日子主演の「快盗ルビイ」は有名ですね。

またイラストレーターらしい絵コンテが展示されていて必見です。

▲和田誠は監督作ごとにキャスト、スタッフを群像イラストとして描いていて、これもイラストレーターとしての面目躍如。

それにしても、麻雀放浪記も快盗ルビイも評価の高い映画です。やはり膨大な映画マニアとして知識があるので自然と映画の文法が身に付いていて、そこにデザイナー/イラストレーターとしてのビジュアルセンスが加わっているからなのでしょう。

▲名前入りのディレクターチェアも展示されていました。

残念ながら座ることはできません。

▲そして映画関係のコレクションも。

これは本国から買い付けたオリジナルポスター。

さらにアメリカから35mの上映用フィルムを取り寄せてコレクションしていたのだそうです。もうそうなると一人名画座とも言えるもので、まさに映画ファンの鑑です。

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常設展「日本映画の歴史」

NFAJ7階の展示室は半分が「日本映画の歴史」という常設展示です。

▲国立映画アーカイブのコレクションを用いて日本映画の歴史を学ぶ展示です

▲20世紀に入っての映画前史から黄金時代でもある1950年代が主な展示になっています

古いポスターから重要人物の紹介、古い機材の展示など。

ここを見るだけでも興味深いです。

▲小津安二郎と「東京物語」の紹介。

東京物語の台本なども展示されています。

小津安二郎の影響も受けたヴィム・ヴェンダースが小津風に撮った「Perfect Days」が米オスカー賞の国際長編映画賞にノミネートされるなど、小津安二郎の再々評価がされそうな時期ですから、これなどもタイムリーな展示かもしれません。

▲ロビーでは1960年代以降の日本映画を紹介する展示が行われています。

その一角に置かれた旗印。黒澤明監督の「七人の侍」に使われたものです。

劇中で千秋実が演じる林田平八が作ったもので、「◯」が侍、「△」が三船敏郎演じる菊千代様、そして「た」は農民を表しています。

この旗印の前でポーズを取れば、もう気分は菊千代様ですね。

国立映画アーカイブ

この「和田誠 映画の仕事」と「日本映画の歴史」が開催されている「国立映画アーカイブ」は日本に7つしかない国立美術館の一つ。

そして国立としては唯一の映画専門機関です。

▲仕事は映画のフィルムや関連資料のコレクションだけなく、実際にフィルムの上映企画やセミナーなど、公開、教育の企画も数多く行われています。

▲館内1階のロビーです。

フィルムが敷かれているのがいかにも国立のフィルムセンターという趣です。

地下と2階にフィルムを上映できるホールがあり、1階はこのロビーだけです

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写真撮影などの注意点

1. 写真撮影は?

今回の《和田誠 映画の仕事》展会は写真撮影可能です。ただしフラッシュの使用、動画撮影は禁止です。

また常設の「日本映画の歴史」展も同様です。

ただし企画展は都度会場での指示に従うようにしてください。

2. 手荷物は?

無料ロッカーに荷物を預けて鑑賞しよう。ロッカーは7階の受付の横にあります。

3、《和田誠 映画の仕事》展の混み具合は? 

日本映画の総本山ということもありインバウンドのお客さんも含め常にお客さんが入っている状況です。

ただ美術館などの展覧会とは違い平日昼間で常時数人というレベルです。

4、鑑賞料金は?

一般250円、大学生130円。誤植ではなく本当にこの値段です。さらに高校生以下、65歳以上のシニアは無料です。

▲映画ファン、和田誠ファン、イラスト好きな人にはとても楽しい展覧会です。鑑賞料が安いのでちょっと時間ができたときに気軽に入れるのも良いですね。

▲展覧会の図録「和田誠 映画の仕事」も刊行されています。

国立映画アーカイブの1階受付でも販売していますがAmazonからも購入できます。

基本情報

 和田誠 映画の仕事


2023年12月12日(火) –  2024年3月24日(日)

11:00 – 18:30 (2/23は20:00まで)
月曜休館

入場料:一般250円、大学生130円、高校生以下と65歳以上は無料 

国立映画アーカイブ (略称:NFAJ)展示室(7階)

中央区京橋3-7-6 MAP

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