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東京都港区麻布台にある一風変わった建築、NOAビル(ノアビル)をご存知だろうか。東京メトロ神谷町駅が最寄りで、東京タワーにとても近い飯倉交差点の南東角に位置し、下部がブリックでその上に黒い円筒形が聳える建築だ。飯倉交差点に行ったことがある人なら目にしていないわけがない。

私自身は、おそらく高校生だったと思うのだが、初めて見た時はなんとも気味の悪い建築だと思ったのをとてもよく覚えている。新興宗教施設だろうか?と思ったくらいだ。確かに本物の新興宗教施設霊友会がすぐ近くにあるものの、NOAビルは普通のオフィスビルなのだ。

初見の時は知らなかったが、これこそが白井晟一が設計し1974年に竣工した建築だ。すでに築50年経っているが、全く古さを感じさせない。普遍的である理由はマテリアルとそのデザインにあるだろう。

NOAビルは3つの部分で構成されている。まずは楕円形の円筒部分だが、表面は硫酸銅で黒く処理されており、縦長の窓がいくつか設けられている。そして、中央付近の外壁には金色の「NOΛ」のロゴが燦然と輝いている。円筒の根元はブリックで覆われており、入口の階段はスウェーデン産の赤御影石で、壁面にはフランス産の黒御影石が使用されている。

なんとも贅沢な作りだが、いいマテリアルを使った方が古くならないし、長持ちすることを証明している。

高校生の自分が君が悪いと感じたのは、白井晟一の哲学的な世界観が理解できなかったのだということが今はわかる。

象徴的なのは、ファサードがくり抜かれたようにして、階段がありその正面ではなく両サイドに内部への入り口が設けられている。だから一見階段の先は行き止まりでどこへも行けない階段のように見えるのだ。

さらに、この階段空間は、まるで教会のような厳かな雰囲気を漂わせており、まさか普通のオフィスが入っているようには全く見えない。

観察しているとこの階段を上り下りしてごく普通の方々が出入りしていることがわかるはずだ。

くりぬかれたような階段空間の天井には、白井晟一が晩年に設計した渋谷区立松濤美術館のエントランスの天井がそうであるように、オニキスが貼られている。真っ黒な御影石に囲まれた空間に不思議な華やかさを添えている。

実は、以前に一度だけ内部に入ったことがある。それは港区大使館スタンプラリーというイベントでノアビルに入っている在日フィジー大使館見学をした時だ。コロナ禍でこのイベントは数年中止され、最近再開したもののフィジー大使館はもう参加していない。

というわけで再び内部に入る機会は当分なさそうだが、飯倉の交差点から見上げたり、最近開業した麻布台ヒルズとオランダヒルズをつなぐブリッジからただじっと眺めているだけでも十分満足なのだ。そして、ずっと見ていても全く飽きることがないから不思議だ。

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